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お別れも大久保嘉人流「C大阪は無駄に力を使っている」、引退に涙なし!最後までクラブ思い愛の苦言

[ 2021年12月13日 05:30 ]

天皇杯準決勝   C大阪0-2浦和 ( 2021年12月12日    埼玉 )

<浦和・C大阪>試合後、サポーターに手を振るC大阪・大久保(撮影・西海健太郎)
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 さらば、大久保――。準決勝2試合が行われ、C大阪の元日本代表FW大久保嘉人(39)は先発出場もゴールを奪えず、0―2で浦和に敗戦。国内タイトルとは無縁のまま、21年間の現役生活の幕を下ろしたが、チームメートらに愛情たっぷりの厳しい“惜別メッセージ”を送るなど、最後までらしさを貫いた。浦和は今季で退団するMF宇賀神友弥(33)が決勝弾。大分は2連覇を狙った川崎FをPK戦の末、撃破。19日の決勝のカードは浦和―大分となった。

 試合終了の笛を聞いた瞬間、大久保の瞳はうっすらと潤んでいた。でも引退会見の時のように涙は流さなかった。「あ、終わったなーという感じ。スッキリしたというか、もうやらなくて良いな、と」。J1最多191得点、史上初の3年連続得点王。現役21年間で数々の記録を残す一方、国内タイトルには縁がなかった。それでもすがすがしい表情だった。

 1トップでスタメン出場。前半6分にはチーム初シュートとなるミドルを放った。同41分には右からのクロスに飛び込んだ。先制点を許した直後には人さし指を立てて「取り返しにいこう」とチームを鼓舞した。「負けて当然の内容」とサバサバと口にしたが、後半19分に交代するまで最前線で戦い続けた。

 01年にC大阪でプロキャリアをスタートさせ、今季15年ぶりに復帰。ロッカールームではチームメートに「頑張って。これから先のサッカー人生も長い。優勝できるように応援しています」とあいさつしたという。ただ、それだけで終わらないのが大久保という男。歯に衣(きぬ)着せぬ言動も魅力なストライカーは未来のクラブに思いをはせ「改善していかないといけない」と厳しくも愛情がある激辛エールを送った。

 「C大阪は無駄に力を使っている。それで攻撃も守備も間延びしてしまって、やられている。攻撃でもセンタリングしかワクワクしない。サッカーは得点を取らないといけないスポーツ。頭を整理して、考えないとトップにいけない」

 引退試合のしんみりしたムードはない。スパイクを脱ぐことになっても、サッカーへの熱い思いは変わらない。何とかゴールを奪おうと走った。相手DFと駆け引きした。球際で競った。そして直情的な言葉で締めた。現役ラスト1秒まで、大久保嘉人は大久保嘉人だった。

 《今季最多の観客数》準決勝2試合は新型コロナウイルスの感染拡大後、主要プロスポーツで初めて観客数を制限せずに開催され、今季最多の観客が集まった。収容約6万人の埼玉スタジアムの浦和―C大阪は3万933人、同約2万5000人の等々力陸上競技場の川崎F―大分は1万7595人が観戦した。両会場ではマスクの着用や、発声しての応援の禁止など感染防止策が呼び掛けられた。19日の決勝も観客数の上限が撤廃され、約6万8千人収容の東京・国立競技場で開催される。

 ◇大久保 嘉人(おおくぼ・よしと)1982年(昭57)6月9日生まれ、福岡県出身の39歳。苅田SSSから国見中、国見高を経てC大阪加入。神戸、川崎F、FC東京、磐田、東京V、マジョルカ、ウォルフスブルクにも在籍。J1通算474試合出場191得点、J2通算48試合出場18得点、国際Aマッチ通算60試合出場6得点。家族は莉瑛夫人と長男・碧人(あいと)さん、次男・緑二(りょくじ)くん、三男・橙利(とうり)くん、四男・紫由(しゆう)くん。1メートル70、73キロ。

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