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日本のサッカー界で来年起きること

[ 2020年4月17日 08:00 ]

14年3月、無観客で行われた浦和ー清水戦
Photo By スポニチ

 【大西純一の真相・深層】新型コロナウイルスの感染拡大でJリーグが中断してまもなく2カ月、東京都などに緊急事態宣言が出された影響で全チームが活動を停止し、リーグ戦再開のめどもたっていない。

 選手は自主トレをしているが、これだけブランクができてしまうと、完成度の高い試合は厳しくなる。リーグ戦の全日程を消化してシーズンとして成立するかどうかもわからない。再開されたとしても、当分は観客は前後左右の席を空けて半分にする予定で、アウェーのサポーターの入場も断る方針だ。28年間積み上げてきて作り上げたJリーグの形が大きく崩れてしまう可能性もある。

 早期終息したとしても、サッカー界は大きな痛手を負うことはまちがいない。村井チェアマンが「運営費の30~50%削減」を打ち出している。DAZNから予定通りの放送権料が入っても各クラブへの分配金が減額される可能性もあり、厳しい現実が待っている。何とか全日程を消化できたとしても、各クラブとも大幅な収入源になる。席を空けるために、指定席の購入者に対して一旦払い戻しして新たに半分だけ発売する。スポンサーに対しても、シーズンが中断した期間相当分の契約金を払い戻さなければならないという。これも大きい。

 そして一番心配しているのが来季のスポンサー契約だ。多くの企業が減収減益になる可能性があり、「来季のスポンサー契約交渉に行っても、値下げしてくれと言われればいい方、とても余裕がないと断られる可能性が高い」と頭を抱えるクラブ関係者もいる。ほとんどのクラブが赤字に転落し、Jリーグが経営の厳しいクラブを一時的に支援するための「リーグ戦安定開催資金」があるが、一度に多くのクラブがSOSを出してきたのでは対処できない。Jリーグから撤退するクラブが出てこないとは断言できなくなる。

 選手にとっても向かい風が吹く。どのクラブも強化費や人件費を縮小させることはまちがいない。複数年契約が残っている選手はいいが、今季で契約が切れる選手は、年俸が高いと「契約満了」となる可能性がある。今季降格がなくなったことも影響して順位にこだわらずに戦うことができるようになり、一気に若手に切り替えるクラブも出てくる。そうなると契約を結べない選手が大量に出てくる可能性もある。海外に移籍しようと考えても同じような状況だろう。

 来年は1年延期された東京五輪が開催される。さらにW杯アジア最終予選もあり、日程的にもハードになる。サッカー的には重要な年だが、今までどおりにサッカーがある喜びをかみしめることができるか、いまから知恵を絞る必要があるだろう。

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2020年4月17日のニュース