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小柳ルミ子から“ダメ出し”も…利己主義者ではないからこそ輝く香川

[ 2017年7月19日 12:45 ]

14日の練習で、ファンの前で汗を流すドルトムントの香川
Photo By スポニチ

 気温35度。うだるような暑さの宮崎市内でMF香川(ドルトムント)の自主トレ合宿を取材していると、関係者から報道陣にペットボトルのお茶が配られた。脱水症状を起こす可能性を危惧した香川からの差し入れだった。左肩脱臼からの復帰を目指す過程の重要なトレーニング中でも周囲への気配りを忘れない。日本代表のオフィシャルパートナーであるキリンビバレッジ社の「生茶」を選んだセンスもさすがだった。

 左肩脱臼で欠場した15日の明治安田生命Jリーグワールドチャレンジ浦和―ドルトムント戦(埼玉)。ハーフタイムにテレビ出演した香川は女優の小柳ルミ子から「人が良すぎます。素敵なことだけど、もっとしたたかに毒があってもいい」とダメ出しされた。苦笑いで受け流す“大人の対応”で、ここでも人の良さを見せた。

 小柳ルミ子の言葉はストライカーや点取り屋にはエゴが必要との観点からの指摘であると思われるが、香川の場合は利己主義者ではないからこそ、ピッチで輝いている一面もある。受け手のことを考えた絶妙のスルーパスや、2つ、3つ先の展開を見据えた組み立てのパスなど気の利くプレーが持ち味の1つ。周囲への気配り、相手を思いやる気持ちが、繊細なプレーの根底にあるように思う。

 香川は宮崎市内での自主トレ合宿初日の昼食後、うどん店の駐車場で初老の女性2人組からペットボトルを差し出され「フタを開けてちょうだい」と頼まれて、快諾。お礼として「これで好きな物を買いなさい」と胸ポケットに5000円札をねじ込まれた。「さすがに受け取れなかった」と丁重に断ったが「ペットボトルを開けるだけで5000円もらえるなんて凄い。セカンドキャリアを宮崎で考えようかな。ペットボトルを開ける仕事で」と笑い話にしている。日本代表の背番号10としては異例のエピソードだが、これも香川の人柄がなせる業。毒がない、人が良すぎるスターがいてもいい。(記者コラム)

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