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カズ、英国のレジェンド抜いた!50歳7日で出場 年長記録更新

[ 2017年3月6日 05:30 ]

明治安田生命J2第2節   横浜FC1―1長崎 ( 2017年3月5日    トラスタ )

<横浜FC・長崎>前半、ドリブルする横浜FC・三浦(中)
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 英国のレジェンドを超えた!J2横浜FCのFW三浦知良(50)は5日、アウェー長崎戦に2戦連続で先発出場し、後半9分まで攻守に献身的なプレーを見せた。試合は1―1で引き分け、敵地で貴重な勝ち点1を手にした。50歳7日での出場は元イングランド代表FWスタンリー・マシューズが記録した50歳5日の年長出場記録を超える偉業。キングがまた一つ、新たな歴史を刻んだ。

 左45度のエリアからドリブルを仕掛けた。前半42分。カズは2人のDFに囲まれながらボールをキープし、左サイドに展開した。場内がドッと沸く。50歳の勇姿に敵も味方も関係なかった。だが前を向いたのは、この1回だけ。「見せ場はなかったね」。脳内でイメージする切れ、プレーを出せないもどかしさ、悔しさをあらわにした。それもまたカズらしかった。

 もちろん、偉業の価値は変わらない。50歳7日での出場はスタンリー・マシューズがイングランド1部で記録した50歳5日の年長出場記録を超えた。ドリブルの魔術師で得意のフェイントが「マシューズ」と名付けられたほどのレジェンド。カズも子供の頃は「マシューズ!」と叫びながら練習していた。当時は「50歳でプレーしたなんてうそだろって思ってた」。それが今、カズ自身も想像すらできなかった領域に立った。

 徹底した肉体への気配りと情熱のたまものだ。若い頃に比べれば当然、瞬発力や加速のスピードは落ちた。最初に感じたのは30代、悔しくて口にはできなかった。だが“若さ”を取り戻そうと体に負荷をかけて練習量を増やすのは逆効果だった。今ではインサイドキック1つでも試合を想定して大切に練習することを心がける。50歳となった今でも30代より、うまく走れていると感じることもあるという。

 前半20分、相手選手に激しくプレスをかけ、勢い余って1回転した。空中戦でも体を投げだし、見る者の胸を熱くした。長崎の高木琢也監督(49)は「開幕戦も65分出ている。正直言うと(2週連続となる)この試合はどうなのかな?と思っていた。それなのにいい状態で来られた。凄い人だと改めて思った」。日本代表時代の盟友も感服するしかなかった。

 まだ寒風吹く中、半袖姿でプレーした。99年、クロアチア・ザグレブ時代に出会ったゴラン・ユーリッチの影響だ。当時既に35歳の大ベテランだったが、自身の立場を理解した上で周囲を鼓舞、自身を追い込むことも忘れなかったクロアチアの鉄人。その生きざまにほれた。「(マシューズは)伝説と言われる人。大事なのは内容。数字では超えてもキャリアを考えれば超えたとは思えないよ」。カズの魂に宿る謙虚な姿勢とあくなき向上心。50歳の伝説はまだまだ続く。

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