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「マジック・マジャール」再び!44年ぶり歓喜の“ハンガリー舞曲”

[ 2015年11月17日 09:27 ]

ハンガリー代表の快進撃を支える39歳GKキラーイ(1)(AP)

 16年欧州選手権フランス大会の出場権を懸けた予選プレーオフは15日、第2戦の1試合が行われ、ハンガリーがホームでノルウェーを2―1で破り、2戦合計3―1で1972年以来11大会ぶりの本大会出場を決めた。1950年代に“マジック・マジャール”と称されて圧倒的な強さを誇った東欧の古豪が、長い低迷期を経て復活へののろしを上げた。

【欧州選手権予選プレーオフ】

 44年ぶりとなる歓喜の瞬間だった。古豪ハンガリーが過去10大会連続で敗退してきた欧州選手権予選をついに突破。満員の地元ファンの前で、イレブンはドイツ人のシュトルク監督を胴上げして喜びを爆発させた。

 「この国全体にとって大きな快挙だ。(低迷していた)過去30~40年間の元代表選手や歴代監督のことを思い出したよ」。しみじみと語った39歳GKキラーイがプレーオフのヒーローだった。ダブダブの長ズボンがトレードマーク。ドイツ2部1860ミュンヘンではFW大迫とともにプレーしたベテランは、同国最多タイとなる101試合目の出場。前半27分に鋭い飛び出しでピンチを防ぐなど、完封した12日のアウェー戦に続いて好守を連発した。先発に欧州主要リーグに所属する選手はゼロ。大物不在のチームはボール保持率で39対61%と相手に押されながらも、守護神が失点を終盤の1点に抑えた。

 亡き同僚のためにも勝ちたかった。第1戦が行われた12日に同国代表GKのフロップ氏が、がんのため32歳で死去した。サンダーランドなどプレミアリーグでプレーし、代表として24試合に出場した後輩についてキラーイは「ショックを受けたが、チーム全員が彼を思って戦った」。前半14分に先制のミドル弾を決めたFWプリシュキンは「あのゴールは良き友人だったフロップにささげたい」と語った。

 ハンガリーは50年代にFWプスカシュらを擁して黄金期を築いたが、共産主義体制の崩壊とともに国からサポートを受けていたサッカーも弱体化。86年W杯メキシコ大会を最後に主要国際大会から姿を消していた。低迷脱出に導いたのは10年に就任した同国協会のチャーニ会長。同国最大のOTP銀行の頭取を務める大物経済人が力を入れたのは国内環境の整備だった。就任から5年で全国に282の新たなピッチを造るなどの地道な活動が、国内組が多い代表の強化にもつながった。

 96年に87位だったFIFAランキングは33位まで上昇。来年の欧州選手権は“マジック・マジャール”が、久々の国際大会で復活をアピールする舞台となりそうだ。

 ▽マジック・マジャール マジャールとはハンガリー人の多数を占める民族の名称。50年代前半に4年間無敗を誇った同国代表チームの通称となった。同代表歴代最多84得点のFWプスカシュ、同2位75得点のF(50年代前半4年間無敗チームの通称/)Wコチシュらを擁し、52年ヘルシンキ五輪で金メダルを獲得。54年W杯スイス大会は準優勝。56年の動乱でプスカシュ、コチシュら主力選手が亡命し弱体化。今年1月、当時のメンバーで唯一の生存者だったDFのブザンスキー氏が89歳で死去した。

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2015年11月17日のニュース