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なでしこ有吉は努力家のシンデレラ 元チームメートが明かす

[ 2015年7月28日 09:30 ]

<日本・イングランド>前半、相手とボールを競り合う有吉

 女子W杯カナダ大会が閉幕して3週間がたつが、右サイドバックとしてなでしこジャパンの準優勝に貢献した“シンデレラ”DF有吉佐織(27)の活躍は記憶に新しい。日体大時代のチームメートの山田ゆり香さん(28=文京学院大女子中・高サッカー部コーチ)は、大学時代の有吉について「大学時代から練習中は自分に厳しく、妥協しないタイプだった」と振り返る。

 大学時代の有吉は中盤やトップ下が主戦場。高校時代FWとして鳴らしたことから「キング」と呼ばれていたが、サッカーに対してはストイックだった。チーム練習開始前には大学内のトレーニングセンターで筋トレを行ったり、陸上トラックを走ったりと1~2時間の自主練習を欠かさない「努力家」(山田さん)だったという。

 大学4年の09年、有吉は左膝前十字じん帯を断裂。普通なら将来を見据えてじっくりとリハビリに取り組むところだが、有吉は大学最後の大会となる冬の全日本大学女子選手権に間に合わせるため、早期復帰へ全力を注いだ。加圧トレーニングや太腿裏の筋トレに励み、約5カ月半後に実戦復帰。「ケガする前よりも筋トレしてましたね。復帰したとき、普通なら100%でできないところでも、彼女は最初から100%で動けていた」と山田さんは証言する。

 日テレ入団後、有吉はサイドバックに転向。12年ロンドン五輪はバックアップメンバーに甘んじたが、14年アジア杯、アジア大会で主力を担い、W杯カナダ大会で自身初のW杯メンバー入りを果たした。カナダへの出発前、山田さんら日体大時代の同期15人はオリジナルTシャツを制作して有吉にプレゼント。Tシャツには同期15人の写真と「キング ワールドカップがんばれ!」というメッセージがプリントされていた。元チームメートの思いをしっかりと受け取った有吉は、W杯で6試合にフル出場して1得点を挙げる活躍。8人の大会MVP候補にも選出された。

 帰国後、有吉は「今大会でできたことと、決勝での米国の差を自分の中で整理して、またベレーザで頑張りたい」と話した。努力家のシンデレラは、来年のリオデジャネイロ五輪でどんな“第2章”を描いていくのか。今後の活躍にも期待したい。 (原田 真奈子)

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2015年7月28日のニュース