×

フランス 5発で4年前の悪夢一掃!ベンゼマ“結束”強調

[ 2014年6月22日 05:30 ]

後半、4点目のゴールを決めるフランスのベンゼマ

W杯1次リーグE組 フランス5―2スイス

(6月20日 サルバドル)
 4年前とは180度違う“特別な日”だ。E組首位のフランスはFWオリビエ・ジルー(27=アーセナル)の先制点などでスイスを5―2と圧倒した。10年南アフリカ大会の期間中、選手全員が練習ボイコットを起こした日にチームW杯通算100ゴールを達成。56年ぶりとなるW杯5得点もマークし、決勝トーナメント進出に大きく前進した。

 悪夢の一日が、4年を経て歓喜の一日へと変わった。0―0の前半17分の右CK。ジルーがDF陣よりもさらに高い打点で頭で合わせ、ゴール右上に入れた。大勝を呼ぶ先制点は、節目のチームW杯通算100得点。喜びの輪の中で手荒い祝福を受けたジルーは「ビッグマッチができた上に、自分はW杯初ゴール。ファンタスティックだった。みんなで美しい結果を出せたよ」と勝利に酔いしれた。

 攻撃的な布陣で堅守のスイスを粉砕した。初戦2発のベンゼマを3トップ左に移し、中央にはポストワークに定評のあるジルーを今大会初めて先発で起用。攻撃に厚みを持たせる意図を全員が理解した。ボール保持率43%ながら、攻守の切り替えの速さで相手を圧倒し、58年スウェーデン大会以来56年ぶりの5得点。腰痛で大会前にW杯メンバーから外れたエース、リベリ不在の影響をみじんも感じさせなかった。2戦連続得点のベンゼマは「最も重要なのはチームの勝利」とチーム一丸を強調した。

 10年南アフリカ大会と同じ轍(てつ)は踏まなかった。ちょうど4年前の6月20日、アネルカを追放した当時のドメネク監督に選手が反抗。練習をボイコットする前代未聞の事態に発展した。空中分解したチームは1勝もできずに1次リーグ敗退。お家騒動に泣いた教訓を生かし、デシャン監督は強烈な個性よりもチームの和を求めた。12年欧州選手権で記者に暴言を吐くなど“危険因子”であったナスリをメンバーから外した。「最高の23人を選んだわけではない。最高のチームをつくり上げた」。指揮官の言葉通り、強固な結束で決勝トーナメント進出をほぼ手中に収めた。

 フランスは地元開催の98年大会で初めて頂点に立った。当時、主将として優勝に貢献した指揮官は「98年のチームと同じ雰囲気がある」と満足感を充満させた。2戦8発と猛威を振るう「レ・ブルー」が、大会の主役へ名乗りを上げた。

 ▼フランスの練習ボイコットVTR 南アフリカ大会中の6月19日、アネルカがドメネク監督を侮辱したとフランス紙レキップが報じ、同国協会は監督と協議してアネルカ追放を決定した。20日にエブラ主将が情報漏えい疑惑のあったフィジカルコーチと口論。アネルカ追放に抗議した選手は練習をボイコットした。21日に練習は再開したが、サルコジ大統領が監督と選手の話し合いを求めるなど国中を揺るがす大騒動に発展した。チームは1分け2敗で1次リーグで敗退した。

続きを表示

この記事のフォト

2014年6月22日のニュース