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マルセイユ 開幕6連勝でストップ…“呪い”の敵地で4失点

[ 2012年10月2日 06:00 ]

<バランシエンヌ・マルセイユ>得点を許し悔しがるGKマンダンダ(右から2人目)らマルセイユイレブン

フランスリーグ マルセイユ1―4バランシエンヌ

(9月30日)
 首位マルセイユは30日、敵地で行われたバランシエンヌ戦に1―4で敗れ、開幕からの連勝が6で止まった。6戦1失点と好調だった守備陣が崩壊し、過去の八百長騒動で因縁がある格下に完敗。次節7日に控える2位パリSGとの首位攻防戦に大きな不安を残した。

 終了間際に1点を返したが、4失点の前では焼け石に水。リーグ52年ぶりの開幕6連勝を飾った勢いは完全に失われ、ボープ監督は「ほとんど何も機能しなかったということ」と嘆いた。

 激しいプレスに押し込まれ、前節までリーグ最少の1失点と快進撃を支えてきた最終ラインが乱れた。前半16分にGKマンダンダが強い日差しの中でボールを見失ったのか、FKに反応できずに失点。相手MFダニクが「まぶしそうだったから枠内に入れればいいと思った」と明かした一撃で先制された。同34分にはDFファニが一瞬の判断ミスから突破を許し、失点を重ねた。

 さらなる悪夢はその5分後だ。ボールを拾って素早く味方に渡そうとした守護神が、直前で投げるのをやめようとして失敗したのか、右手から転がり出たボールは相手MFカディルの足元に転々。無人のゴールに決定的な3点目が決まった。

 これまでの堅守からは予測できない失点のオンパレード。これが積年の“呪い”か。マルセイユは92~93年の終盤戦で相手選手を買収。5連覇(後に取り消された)を成し遂げた。その相手がバランシエンヌだった。

 のちの八百長発覚でフランス屈指の名門は優勝剥奪や降格処分を受けたが、事件を機に低迷した北部の小クラブも93~94年を最後に降格。4部転落や破産に苦しんだ。ファンの怒りは現在もマルセイユに向けられ、今回の対戦でもMFサエズは「いまわしい歴史の苦悩を洗い流すため負けられない」と思いを代弁。06~07年のバランシエンヌ1部復帰以降、敵意に満ちた競技場でのマルセイユの成績はこの敗戦で1勝2分け4敗となった。

 マルセイユは7日のパリSG戦に弾みをつけるはずが、逆に勝ち点3差に迫られ、直接対決に敗れれば2位転落の危機。MFシェイルは初黒星に「いつかは負けるが、こんな形では…」と漏らした。“亡霊”に足をすくわれ、ショックを引きずったまま大型補強で注目される優勝候補の本命と対戦へ。3季ぶりの王座奪回に向けて首位に立つマルセイユだが、もはや余裕はない。

 ▼マルセイユの八百長 マルセイユは93年5月20日のバランシエンヌ戦で一部選手に金銭を渡して八百長を要請。1―0で勝って5連覇に前進した。翌21日にバランシエンヌの選手が八百長を告発。マルセイユは否定したが、フランス協会が水面下で調査に乗りだし、疑惑があった選手の自宅の庭で地中から現金を発見するなどした。マルセイユは93年の優勝を取り消され、翌93~94年シーズン後の2部降格が決定。2季を2部で戦った。

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