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金満補強もう無理!?FFP審査元年 赤字削減へ買い控え

[ 2012年2月7日 07:34 ]

 CSKAモスクワのMF本田圭佑(25)のラツィオ移籍が破談に終わった欧州主要リーグの冬季移籍期間。大型移籍が相次いだ昨年から一転、今年は大物が動かないまま1月31日に終了を迎えた。市場停滞の大きな要因にはUEFA(欧州サッカー連盟)の「ファイナンシャル・フェアプレー」(FFP)があった。

 クラブ経営の健全化を目的にUEFAのプラティニ会長が導入を推進した「FFP」。財務審査は13~14年シーズンから始まるが、11~12年の今季から対象となる。

 当初は4500万ユーロ(約45億円)の赤字が許容されるが、その金額は段階的に減らされ、最終的に自力で単年の赤字ゼロが義務づけられる。UEFAの調べで欧州各国の1部所属クラブの10年赤字総額が16億ユーロ(約1600億円)と判明した中、移籍金など人件費削減はクラブの緊急課題。違反すれば欧州CLなどUEFA主催大会の出場が制限される。

 審査対象外で最後の移籍期間となった昨年1月は“駆け込み”とみられる補強が連続。チェルシーが移籍金5000万ポンド(約60億7000万円)でFWフェルナンド・トーレスを獲得するなどプレミア勢だけで総額2億2500万ポンド(約273億円)の移籍金を投じたが、今年はトーレス1人分の5000万ポンドに激減した。スポーツビジネス企業デロイト社のスィッツァー氏は「確実にFFPが影響している」と“買い控え”を指摘する。

 マンチェスターCが移籍金を3700万ユーロ(約37億円)に設定したとされるFWテベス獲得を断念したインテル・ミラノのパオリッロ代表取締役は「FFP適合を考えると無理だった」と告白。同じくテベス獲得を見送ったACミランのガリアーニ副会長は「FFPが大きい。ベルルスコーニ・オーナーらが行ってきたような援助ができなくなる」と話す。富豪オーナー頼みで赤字を補てんしてきた時代は終わり、マンチェスターCやパリSGなど金満クラブは戦略見直しが必至の情勢だ。

 移籍金1300万ユーロ(約13億円)でラツィオ移籍が成立していれば今冬の移籍市場で2番目の高額移籍選手となったはずの本田。FFPで市場が冷え込むとはいえ、移籍期間が7~8月と長く新シーズンへの本格補強が行われる夏に向けてどこまで自身の価値を高められるか…。強豪移籍へ重要な半年になりそうだ。

 ☆ファイナンシャル・フェアプレー 収入以上の支出を認めない財政監視策で、審査が始まる13~14年シーズンは過去2季の赤字を4500万ユーロ(約45億円)以下に抑えることが必要。14~15年以降は過去3季の収支を審査対象とし、赤字許容額を徐々に減額し段階的に導入される。競技場など設備投資や育成部門への投資は支出と見なさないため、下部組織での育成を促す狙いもある。

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2012年2月7日のニュース