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五輪へ危機感 沢「大変であれば監督に遠慮なく言わせてもらう」

[ 2011年8月23日 06:00 ]

<なでしこ代表合宿>大勢のファンが見つめる中、練習するなでしこイレブン

なでしこ合宿スタート

 来月1日から始まるロンドン五輪アジア最終予選(中国・済南)に臨むなでしこジャパンは22日、岡山県美作(みまさか)市内で合宿をスタートした。

 国民栄誉賞受賞メンバーを一目見ようと、練習場には約3500人のファンが詰めかけフィーバーは衰えを見せない。主将のMF沢穂希(32=INAC)は選手が疲労を抱えていることに危機感を募らせており、佐々木則夫監督(53)に対し、休養を取るよう進言する意向を示した。

 静かな山あいの温泉街・美作市湯郷(ゆのごう)がかつてないほどの活気に包まれた。練習場の美作ラグビー・サッカー場に駆けつけたファンは約3500人。選手のバスが到着すると、約1000人が入り口で待ち構えた。練習中には81歳の女性が熱中症の症状を訴えて救急車で搬送されるアクシデントもあった。試合形式の練習でシュートが決まると大きな拍手が起こった。沢は「想像以上の人出で、あらためてびっくり」と話した。

 「非常に熱いお出迎えで、これだけの人の前で練習ができる。練習に集中しやすい環境をつくってもらってありがたい」。歓迎を受けた佐々木監督は決意を新たにした。その上で「慈善試合までが第1クールで2日間の休養が第2クール。ここからは第3クール。W杯から予選モードに切り替える」と練習のギアを上げる方針を示した。ドイツリーグの安藤、熊谷が合流(永里優は24日に練習合流)するきょう23日から2部練習を導入する予定。また男子大学生を参加させて練習試合を行う計画もある。準備期間は短いだけに当然だ。

 しかし、沢はチームの現状を冷静に見極めていた。W杯後ほとんど休みがない。なでしこリーグに加えテレビ番組、イベント出演も重なった。沢は「あっという間の1カ月」と表現した。慈善試合後の20、21日の2日間は完全オフだったが「1日だけリフレッシュできた」程度。主将は「みんなも“もうちょっと休みが欲しかった”と言っていた」とチームメートの声を代弁する。このままハードな練習をこなせば疲労を残して予選に突入する可能性もある。

 危機感を持つ沢はあえて言った。「選手のコンディションが大変であれば監督に遠慮なく言わせてもらう。W杯でも(要望を)言って(休養を取ったため)コンディションが良かった。それを言えるだけの信頼関係は構築してきた」。これまでも練習日程の変更などを求めたことがあるが、今回の合宿でもコンディションを見ながら監督に“物申す”ことを明言した。

 五輪最終予選は11日間で5試合を戦う強行日程。日中の試合もあり消耗戦だ。残された9日間で新たな戦術の導入や体力アップを図るよりも、W杯の戦い方を貫き、コンディションを調整した方がいいというのが沢の考えだ。「一つの練習も無駄にならない。100%、120%でやらないと駄目」。適度に休養を取りながら、集中して練習する。その先に五輪切符があると信じている。

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