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金満補強にも陰り 凋落著しい王者チェルシー 内紛に選手困惑

[ 2010年12月14日 08:33 ]

 プレミアリーグ第17節の3試合が12日に行われ、チェルシーはアウェーでトットナムと1―1で引き分け、前節3位から4位に転落した。FWディディエ・ドログバ(32)が後半ロスタイムにPKを止められて5戦勝ちなし。昨季就任1年目でFA杯との2冠を達成したカルロ・アンチェロッティ監督(51)には去就問題がくすぶり、近年プレミアリーグを引っ張ってきた強豪の勢いに陰りが見え始めた。

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 失速ぶりを象徴するかのような結末だった。終了間際にPKを獲得しながらドログバが失敗。王者チェルシーがつかみかけていた勝利を逃した。
 「勝ち点3にふさわしい内容だった。復調しつつあることは示せた」とアンチェロッティ監督は前向きに捉えたが、かつての試合巧者らしさは失われたままだ。前半15分にスキを突かれ、センターバックのイバノビッチがFWデフォーにつり出され、スペースを使われて失点。最終ラインでコンビを組むテリーは右足の神経痛を抱えてボランチのミケルとの連係も悪く、失点時は2人そろってデフォーからパスを受けたFWパブルチェンコに寄せ切れなかった。
 アレックスの離脱やテリーの不調などで持ち前の堅守はほころび、昨季得点王のドログバも勝負強さが失われた。11月に発覚したマラリア感染によるパフォーマンス低下は指揮官自らチーム失速の一因と認めるほど。後半から出場して同点弾を決めただけにPK失敗は痛恨だった。
 03年夏の買収から財力を背景に強化を図ってきたアブラモビッチ・オーナーも、近年はスカウトの大幅削減など緊縮財政の動きが目立つ。世界から注目された大型補強もなくなり、今回の失速が始まった11月14日のサンダーランド戦直前にはウィルキンス助監督を突然解任。シーズン途中の不可解な動きに地元紙は助監督がオーナーを素人扱いするような発言を行ったことが原因と伝え、テリー主将は「予想もしなかった退団で選手はみんな悲しんでいる」と選手間の困惑ぶりを代弁した。
 アンチェロッティ監督も11月21日に「ファーガソン監督(マンチェスターU)は全権を握っているが、私は技術部門だけを担当している」と補強に関与できない現状を嘆いた。「未来に自信がある。オーナーも信頼してくれている」と退団を否定する指揮官だが、ブックメーカーでは後任予想オッズが花盛り。マンチェスターU、アーセナルと続く上位対決で敗れれば事態悪化は避けられない。近年マンUとリーグ優勝を分け合ってきた強豪が、正念場を迎えた。

 ≪チェルシー次期監督オッズ≫(1)ヒディンク・トルコ代表監督=2・5倍 (2)デシャン・マルセイユ監督=7・5倍 (3)ライカールト・元バルセロナ監督=9倍(ウィリアムヒル社・13日現在)

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2010年12月14日のニュース