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亡き友にささぐ…沙織最多17得点!

[ 2008年5月18日 06:00 ]

白星発進しファンに大きく手を振る他の選手を横目に一人だけ祈るようなポーズをとる木村(中央)

 北京五輪の出場4枠を懸けたバレーボールの女子世界最終予選は17日、東京体育館で8チームが参加して開幕し、世界ランク9位のポーランドと対戦した同8位の日本は木村沙織(21=東レ)がチーム最多17得点と爆発し、3―1で重要な初戦をものにした。下北沢成徳高で木村の1学年後輩だった元日本代表・横山友美佳さんが4月17日、小児がんの一種、横紋(おうもん)筋肉腫で21歳の若さで死去。木村は悲しみを乗り越えて、チームを勝利に導いた。

【最終予選特集】

 涙をこらえてコートを駆け回った。昨年11月のW杯で3―2の激闘を繰り広げたポーランドに、柳本ジャパンが苦しみながらも3―1で勝利。歓喜の輪の中で、チーム最多17得点を挙げた木村が天真爛漫(らんまん)な笑みを浮かべていた。
 「絶対勝ちたい気持ちだった。勝ちたいって気持ちをぶつけた」
 笑顔の裏に、実は深い悲しみがあった。宮崎合宿中の4月17日。下北沢成徳高の1学年後輩だった横山友美佳さんが、21歳の若さでこの世を去った。「姉妹のような関係だった」と言うほどの存在を失い、大きなショックを受けた。この日、会場に移動するバスの中で木村が握りしめていたのは、横山さんの家族から形見分けしてもらった腕時計とおそろいのネックレス。天国から力をもらい、コートで奮闘した。
 随所でさく裂したのが、今大会用に準備してきた新兵器・バックアタックだった。アタックで稼いだ15点中、バックアタックで6得点。不調だった第3セット終盤は狩野と交代したが、第4セットには勝利を決定づける一撃も突き刺した。「良かったところもあったし、ミスもあった。今大会を通じて自分の武器にしていきたい」。確かな手応えが右腕に残っていた。
 04年7月に日本代表に選ばれた横山さんは、中国・北京生まれ。1メートル89で将来を嘱望された大砲は、故郷で開催される北京五輪に出場する夢を持っていた。病に倒れた後は「北京で沙織たちが活躍する場を見るのが目標」に変わったが、志半ばでこの世を去った。「友美佳の分までって思いはある」と木村。残り6戦。亡き親友の思いを背負って、北京ロードを駆け抜ける。

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2008年5月18日のニュース