阿部将大 駆け抜けろスター街道!大分が生んだ競輪界の大型新人、順調なスピード出世

[ 2020年11月12日 05:30 ]

愛車にまたがる阿部将大
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 豊後の大型ルーキーに熱視線だ。13日から別府競輪場で開催されるF1「ジャパンカップ&西スポ杯」に大分県杵築市出身で今年5月にプロデビューした阿部将大(24)が出走する。本格デビューした7月以降、無傷の9連勝でA級2班へスピード出世したスター候補生だ。次世代の九州を担う逸材が練習する別府競輪場を訪れ、アピールポイントやレースへの意気込みを聞いた。

 別府湾から吹き込む秋風を銀輪が颯爽(さっそう)と切り裂く。阿部は練習仲間とともにバンクを軽やかに駆け抜けると、したたる汗を拭った。「中距離種目が得意だった自分の長所は踏んだり止めたりができること。緩急を付けられるのが強みです」。自他共に認める「真面目」な性格で伸びしろたっぷりの24歳。大分から久々に現れた大砲として期待を一身に背負っている。

 鮮烈だった。7月の本格デビューから無傷の9連勝を飾りA級2班へ特別昇班した。同時期にプロの世界へ羽ばたいた新人の中では6番目の早さだ。「先行も捲りも追い込みもいろいろと試せた。先行一本ではないと周りに印象づけたかった」。新人はがむしゃらに先行するもの。この既成概念を取っ払いさまざまな戦法で白星を積み重ねた。クレバーな立ち回りができるのも売りの一つだ。

 競輪選手を志したのは小5の頃。少年野球のコーチに勧められたことで明確に意識し始めた。自転車の名門・日出暘谷高へ進学すると国体の少年ケイリンで現在S級1班で活躍する南潤(和歌山)らを倒して優勝。才能が芽生え輝かしい実績を残した。

 順風満帆に歩み出した自転車人生。だが鹿屋体育大1年の秋に悲劇が襲った。鹿児島で街道練習中に車と衝突事故。「選手生命が終わったと思った」。ドクターヘリで搬送され背骨の横突起骨折、右膝は肉がえぐれる大ケガ。何度も心が折れかけたが諦めなかった。「あの事故がきっかけで自転車に真剣に取り組むようになった。大学ではなあなあだった部分があったが、人生観が大きく変わった」。九死に一生を得た出来事が人として競技者として大きく成長させた。競輪選手養成所の117期に一発で合格。11歳の頃から夢見た競輪選手へ遠回りせずにたどり着いた。

 守るべき人がいる。大学の同級生だった愛由(まゆ)さんと6月22日に結婚。5年の交際期間を経てゴールインした。「1年ぐらい選手をやってからプロポーズするつもりだったけど早まりました。妻が家にいると安心感がある。一番好きな手料理はハンバーグ」と笑う。新型コロナウイルスの影響で挙式は来年10月23日の予定。「それまでにS級へ上がりたい」と新婚レーサーは固く誓った。

 明日からは自身2度目の地元戦。「気持ちが入る。地元で負けたくない。知り合いも見に来るから、いいところを見せたい」。まだないA級1、2班戦での初優勝へ向かって、快速がうなりを上げる。
 【「パラシュート」V14貢献】1年目の阿部は自転車競技でも重要なピースを担っている。10月6日に久留米競輪場で行われた「第47回九州地区プロ自転車競技大会」に初出場。4キロチームパシュート(団体追い抜き)で安東宏高、小岩大介、池部壮太と力を合わせ、大分チーム14連覇の金字塔を打ち立てた。「今年から自分が加わり負けるわけにはいかなかった。凄く緊張したけどいい経験になった」。大分の伝統を守り、安どと充実の表情で振り返った。

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2020年11月12日のニュース