【有馬記念】キセキ、筋肉は裏切らない　秋４戦目も不安なし

ＣＷコースで追い切るキセキ（撮影・平嶋　理子）　
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　栗東ではジャパンＣ２着のキセキが秋４走目の不安をかき消す動きを見せた。

　キセキの焦点はただ一つ。この秋４戦目の有馬記念にお釣りは残っているのか？世界レコードが生まれた前走ジャパンＣはハイラップを刻んだ逃走劇。それでも周囲の懐疑的な目をよそに川田は不敵に笑った。「今回は自分もその点を心配した。だけど厩舎の方からは“全く心配しなくていいよ”と言われている」

　水曜は先週から入っているＣＷコースへ。単走でゆったり加速すると、余力を持って直線を迎える。最後まで馬なりのままだが、ゴール前は機敏な身のこなし。ラスト１Ｆ＝１１秒９は良馬場で計時したジャパンＣの最終追い（この日はやや重）と同値だ。鋭い伸び脚を確認した辻野助手は「中間は慎重に慎重を重ねてやってきたが、今日の追い切りだとジャパンＣと遜色はない」と胸を張った。

　同助手は昨秋との違いを実感している。昨年は不良馬場の菊花賞を制した後、体調面の調整に苦しんで低迷。ジャパンＣ後は当時の悪夢がよぎるが、不安を払拭（ふっしょく）したのは一段とたくましくなった愛馬の姿だ。「精神面、馬体ともに昨年とは比べものにならない。今回もレース後の数日間は走り切った体をしていたけど、日に日に体が膨らんできた。その辺が充実度を物語っている」

　名勝負に欠かせないのが締まったペース。よどみない流れで逃げた天皇賞・秋（３着）とジャパンＣ（２着）はラスト３Ｆ目を１０秒９、１１秒０のラップで攻めた。全馬が全力を出し切った激戦。川田は「（前走は）アーモンドアイという素晴らしい馬もいて勝ち切れなかったが、素晴らしい走りだった。中山２５００メートルがマイナスになることはないし、今回も自信を持ってレースを組み立てたい」と意気込んだ。豊富なタレントが顔をそろえた今年のグランプリ。平成の最後に奇跡的な熱戦が約束されている。