【エプソムC】ダッシングブレイズ初重賞 浜中悪夢乗り越えた

[ 2017年6月12日 05:30 ]

内から伸びてエプソムCを制したダッシングブレイズ(右)
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 トラウマを振り払って伸びた。「第34回エプソムC」が11日に東京競馬場で行われ、5番人気のダッシングブレイズが好位から抜け出した。落馬事故(16年2月東京新聞杯)を起こした東京で挙げたうれしい重賞初制覇。これがキトゥンズジョイ産駒のJRA重賞初勝利となった。

 重賞初制覇を祝福する拍手の中、ダッシングブレイズが1着の装鞍所に引き揚げてくる。鞍上の浜中は憑(つ)きものが落ちたように笑っていた。「この馬と勝てれば、お互いにもう一度頑張れると思っていた。祈りがかないました」

 スタート良くポンと好位に取り付いた。従来より前めのポジションでも「馬のリズム最優先。リズムが良かったので気にならなかった」と浜中。1番人気アストラエンブレムと並んで直線へ進入する。逃げたマイネルハニーを隔てアストラが外、ブレイズは内へ。勝負は3頭に絞られる。乱舞する3本のムチ。“悪夢”を振り払うようにブレイズが伸びた。「坂を上って一番苦しくなるところでもう一段頑張ってくれた」。半馬身抜けたところがゴール。浜中は愛馬のたてがみを優しく撫でた。

 同じコンビで挑んだ16年東京新聞杯。直線で強引に内を突いた結果、内ラチに激突して競走中止となった。ラチ内に吹き飛んだ浜中は脳振とう、左橈骨(とうこつ)遠位端骨折、左手指3カ所を骨折する大ケガ。過怠金5万円の制裁も下された。「馬に申し訳ないという気持ちがずっと心にあった。だから本当にうれしい」。送り出した吉村師も表情を崩し「(同じ)東京で勝てたね。何とかスグルでという気持ちがあったから」と喜んだ。

 近年は出世レースと化しているエプソムC。15年エイシンヒカリなど、V馬は4年連続で後にも重賞を勝っている。「まだ緩さが残っているし、秋は大きいところを目指したい。1800メートルをこなしたし、2000メートルに挑戦してもいいんじゃないか」と師。具体的なレース名は挙げなかったが、中距離のG1獲りが視野に入る。自力で解いた呪縛。秋の躍進へ、もうこのコンビを縛るものはない。

 ▼東京新聞杯VTR(16年2月7日、東京)1番人気に推されていた浜中騎乗のダッシングブレイズ。進路のなくなった直線、強引に1頭分空いた内を突いたがラチに接触。浜中はラチ内に放り出され、落馬競走中止に。同騎手は全治3カ月の重傷だったが、幸い同馬に大きなケガはなかった。吉村師は「(馬に)精神的なダメージがなかったのが幸いだった」と話していた。

 ◆ダッシングブレイズ 父キトゥンズジョイ 母ブレイジングブリス(母の父オナーアングローリー)牡5歳 栗東・吉村厩舎所属 馬主・グリーンフィールズ 生産者・米国ブリーダーKL・R&SK・R 戦績18戦7勝 総獲得賞金1億5862万6000円。

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