【NHKマイルC】これぞエンブレム、圧逃V!控えて負けた桜の雪辱

[ 2016年5月9日 05:30 ]

逃げ切って1着でゴールするメジャーエンブレム(手前)

 雪辱の逃走劇だ!「第21回NHKマイルC」が8日に東京競馬場で行われ、C・ルメール騎乗のメジャーエンブレムが1番人気に応えて堂々と逃げ切った。牝馬の優勝は07年ピンクカメオ以来9年ぶりの快挙。断然人気を背負った桜花賞ではまさかの4着に敗れたが、リベンジを果たして昨年の阪神JFに続くG1制覇を飾った。

【レース結果】

 歓喜の輪が広がった検量室前。笑顔で引き揚げてきたルメールの前で、田村師が万感の思いをかみ締めながら仁王立ちしている。「リベンジの一戦だった。体も絞って究極の仕上げで臨んだ」。メジャーエンブレムから飛び下りたルメールが、師の元へ駆け寄る。抱擁で喜びを爆発させる指揮官の目は真っ赤だった。

 本来のスタイルで鮮やかに勝ち切った。ルメールが「スタートから完璧だった」と振り返る通り、楽にハナを奪取。その瞬間、5万観衆の詰めかけたマンモススタンドから大歓声が湧いた。前半1000メートル57秒7のハイラップを刻み、外から競りかけるシゲルノコギリザメを振り切ったが、田村師は「メジャーの力をもってすれば、直線は止まらない。安心して見ていられた」と振り返った。追いかけた先行勢が直線坂上で後退していく。大外から追い込んだ2着ロードクエストとは3/4馬身。だが、着差以上の力を見せつける完勝だった。

 「穏やかな気持ちではなかった」。師にとっては苦汁をなめた1カ月間だった。単勝1・5倍で断然の1番人気に推された前走・桜花賞。いつものように先手を奪うことなく、中団待機策を取った。いったん抜け出したが、直線は伸びを欠いて4着。得意のスタイルを貫けなかったことが悔やまれた。「あのレースで一番落ち込んだのはルメール。僕たちはチームなので、お互いにカバーできるように、とにかく必死にやってきた」。この日午前、師はルメールを呼んだ。「もし出負けしたとしても、とにかく出していこう」と逃げを指示。“同じ轍(てつ)は踏まない”。そんな強い意志が、NHKマイルC史上初の牝馬による逃げ切りVにつながった。

 今後については「まだ何も決めていないが、牝系(血統)から距離を延ばしても大丈夫だと僕は思っている。常識的に考えれば次は、そこ(秋華賞)でしょう」と語った。父ダイワメジャー譲りの牡馬のような筋肉質の馬体、そして圧倒的なスピード。思い出されるのは父の妹で、女傑といわれたダイワスカーレットだ。桜花賞のリベンジを果たし、牡馬相手にG1制覇を飾ったメジャーエンブレムが踏み出したのは、新たな女傑への道だ。

 ◆メジャーエンブレム 父ダイワメジャー 母キャッチータイトル(母の父オペラハウス)牝3歳 美浦・田村厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績7戦5勝 総獲得賞金2億4310万7000円

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