【東京新馬戦】1億円馬ミュゼモーゼス“驚額”の脚見せる!

[ 2015年6月9日 05:30 ]

今週の東京競馬でデビューする“1億円馬”ミュゼモーゼス

 ミュゼスルタン、ミュゼエイリアンで今春の3歳戦線を席巻した“ミュゼ軍団”の大物2歳馬が今週の東京競馬でデビューする。14年セレクトセール(1歳馬せり)で税別1億円の高値が付いたミュゼモーゼス(牡=大江原、父ダイワメジャー)だ。全兄にカレンブラックヒル(NHKマイルC)を持つ噂の良血が横山典を背に14日の新馬戦(芝1800メートル)でそのベールを脱ぐ。

 神に十戒を授けられた予言者モーゼスと同じ名を持つ1億円ホース。480キロ前後の黒光りした馬体が調教コースに現れるたびに、POGに熱心な競馬記者のため息と舌打ちが交錯する。「獲っておくべきだった」。スタンドから双眼鏡で動きを追った大江原師は予言者のような確信めいた口調で言い放つ。「来年はこの馬でNHKマイルCを獲るよ」。今春、絶大な自信をもって送り出したミュゼスルタンが3着と及ばなかったタイトルの奪回。夢を託せる素質が黒鹿毛に詰まっている。

 「賢くて素直、動きもいい。ダイワメジャーのカン性の強さもある」。予言者から一転、息子を自慢する父親のような照れ笑いを浮かべる同師。「褒めるのは身内だけじゃないよ。岡部さんも評価してくれたんだ」と続けた。キャンターのピッチを上げ始めた4月下旬、その動きが美浦トレセンへ足を運んだ岡部幸雄元騎手の目に留まった。「バランスが取れた、いいフットワークだ。大事に育てろよ」。馬は撫でがら(馬の将来は育て方次第)という。全兄にカレンブラックヒル、半兄にはレッドアルヴィス(ユニコーンS)。ミュゼの高橋仁オーナーが「気合と度胸で競り落とした」と明かす1億円の良血も育て方次第で将来が決まる、と岡部氏は激励を贈ったのだ。

 糸を紡ぐように丹念に調教を重ねてきた。3日にはWコースの外を回って5F68秒。「十分にできている」。仕上がりを確かめた同師は新馬戦のメンバーを自ら“取材”した。初陣の候補に挙げていた20日の新馬戦(東京5R、芝1600メートル)にはリアルスティールの全弟プロディガルサン(国枝)など有力馬がそろう。そんな情報を入手すると、14日のデビューに切り替えた。彼を知り己を知れば百戦危うからず。孫子の兵法まで用いてゲートインするミュゼ軍団の主砲だ。

続きを表示

2015年6月9日のニュース