【フィリーズR】スマートプラネット 鍛え抜いた美浦坂路に秘密あり

[ 2015年3月13日 05:30 ]

(右から)唯一の関東馬となるスマートプラネットと、和田雄師

 “西高東低”といわれて久しい中央競馬に異変が起きている。西の3歳重賞で関東馬が現在3連勝中。桜花賞トライアル「第49回フィリーズレビュー」に関東からただ1頭遠征するスマートプラネットも続くのか。東軍攻勢の背景と同馬の可能性を探った。

【フィリーズR】

 スマートプラネットが鋼のような後肢の筋肉を収縮させながら美浦坂路を駆け上がる。「前走後、坂路でしっかり乗り込み、またがっても体全体が締まってきた感じがする。放牧から帰厩後、時間を置かずに使った前走時とは随分違う」。和田雄師は満足そうな顔で口火を切ると、こう続けた。「昨年、改修された坂路のおかげです。上るだけで息が上がるほどきつい坂で後肢に力をつけた。バランスを崩してもひるまないタフさまで身に付けた」

 美浦の坂路コースが改修で激変したのは昨年春。4Fの計測で従来より平均4秒前後も時計がかかる重たい馬場に生まれ変わった。スマートプラネットを含めた和田雄厩舎の現3歳勢は2歳の入厩時から坂路主体に調教。その成果は2歳戦9勝という数字に表れた。

 関東馬は西の3歳重賞3連勝中。優勝馬のトレーナーも東軍躍進の理由に坂路を挙げる。チューリップ賞をココロノアイで制した尾関師は「トモに大きな負担がかかるコース。弱い馬にはきつ過ぎるが、上のクラスで争うような馬は疲れを乗り越えてパワーアップできる」と言う。アーリントンCを勝ったヤングマンパワーの手塚師は「普通キャンターでも負荷がかかる坂路。普段の鍛錬からきつくなった」と説明。きさらぎ賞を制したルージュバックの大竹師は「速い時計を出せばいいという考え方はもはや通用しない。坂路改修から1年たって調教のノウハウを身に付けたことが結果に表れているのではないか」と指摘する。

 和田雄師が栗東に出向いて坂路調教を体験したのは厩舎開業前の13年冬。「関西馬はこんなタフなコースで鍛えているのか…これはかなわないぞ」。“虎の穴”と呼ばれた栗東坂路に目を見張ったという。スマートプラネットは虎の穴よりもさらにタフになった美浦坂路で鍛え抜いてきた。「この3戦は1F長かった。ベストの1400メートルで先行力を生かせば…」。坂路の申し子が関東馬の反転攻勢を加速する。

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2015年3月13日のニュース