【阪神JF】ココロノアイ 陣営の愛届け!気持ち優先、馬なり12秒9

[ 2014年12月11日 05:30 ]

Wコース単走で馬なりながら上々の時計をマークしたココロノアイ

 陣営の愛が“ココロ”に届くか――。2歳牝馬女王決定戦「第66回阪神JF」の追い切りが10日に美浦、栗東両トレセンで行われた。前哨戦のアルテミスSを引っ掛かりながらも制したココロノアイは、Wコースを単走でスムーズな走り。その激しい気性をコントロールすべく、陣営は日頃からさまざまな工夫を施しているが、その苦労が実を結ぶか!?

【阪神JF】

 アルテミスSを型破りな内容で制したココロノアイ。あまたのクセ馬を乗りこなしてきた横山典でさえレース後に「やんちゃな娘に引きずり回された」と評した。そのココロが、大一番に向けてWコースで最終調整を行った。

 1週前にしっかりと併せ馬(6F83秒5~1F12秒4)で負荷を掛けられたこともあり、この日は単走。馬の気持ちを最優先させた馬なり調整。時計は5F71秒7~1F12秒9。見守った尾関師は「(時計を)速くすると、掛かってしまう。先週の追い切りがあまりにも良すぎたので、今週どうしようかと思っていた。その中でも一番無難なところ、攻め馬というより守り馬ですね。不安のない追い切りができた」と合格点を与えた。

 レース中に隣の馬にかみ付こうとしたというステイゴールド。その父の激しすぎる気性を受け継いだ。陣営はそのコントロールに日常から心を砕いている。この日も一度馬場入りを嫌がるしぐさを見せたが、助手がコース進入後も10メートルほど引き綱を持ったまま誘導を続け、ようやく走り始めた。

 日頃の接し方にも工夫を加えている。入厩当初こそ感情を内に秘めていたが、レースを重ねるごとにワガママ度が増した。担当の前田助手は「ココア」と愛称を付けて、すぐに叱らないように心掛けているという。調教中も思わずムチを使わないように、持たないで騎乗。力を使って黙らせるのは簡単だが、そこは人間がグッとこらえている。歩かせる時の合図も優しく。「今では楽に前に進むようになりましたよ」と進境を感じている。陣営の“ココロの心”を大切にした接し方は、確実に実を結びつつあるようだ。

 初めての関西圏への長距離輸送が頭を悩ませる。金曜か土曜か――。本来なら一日でも早く阪神入りして落ち着かせたいところだが、尾関師は「今週末は選挙があるから」と選挙カーの音にまで気を配る。また前走はパドックでかなりイレ込んだため、今回はゲートまでメンコを二重に装着して万全の対策を講じる予定だ。

 ただ気難しい相手と接する時に、身構え過ぎるとかえってうまくいかないのは人間関係と一緒。そこはベテラン・横山典騎乗なら安心だ。「馬のことを聞かれても、俺はよく分からない。“当日テンションが上がっていなければいいな”とは思う」とサバサバ。「イレ込むな」と人間が願っても、それは馬には伝わらない。「いかに馬の邪魔をしないでキレイに乗れるか。いつもと一緒だよ」。平常心の巧腕が、どうエスコートするかも注目だ。

 ▼前走アルテミスS・VTR ココロノアイは出遅れたうえ、外枠(16番枠)とあって馬群を壁にできず引っ掛かった。向正面では後方13番手から一気に3番手に進出。だが3コーナーで鞍上・横山典が、先行馬の後ろに入れた途端に折り合った。直線半ばで追い出すと、しぶとく伸びて2着レッツゴードンキの追走を鼻差振り切った。

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