【エプソムC】ゴールデンナンバー“まるで男馬”豪快6F81秒3

[ 2014年6月12日 05:30 ]

単走で追い切るゴールデンナンバー。男勝りの豪快なフットワークを披露した

 驚異の成長と最速の上がりで牡馬をなで切りだ。「第31回エプソムC」の追い切りが11日、東西トレセンで行われた。美浦ではゴールデンナンバーが圧巻の走りを披露。94年のワコーチカコ以来20年ぶりとなる牝馬制覇へ前進した。

【エプソムC】

 調教スタンドから馬場に双眼鏡を向ける鈴木康師が「まるで男馬のストライドだな」とつぶやいた。その視線の先ではゴールデンナンバーが520キロを超す雄大な馬体を躍らせる。Wコースでの単走追い。鞍上・大野を背に、よろいをまとったような分厚い胸前がウッドチップを激しくかき込んだ。馬なりのまま6F81秒3の好時計。「5歳になっても体が成長している。数字にも表れているんだ」。同師は双眼鏡を置くと、馬体重の記された手帳を広げた。

 晩成の牝馬が変身する日は突然やってくる。馬体重測定計の表示に師の視線がくぎ付けになったのは休養明けの前走・ヴィクトリアマイルの追い切り直後だった。表示は休養前の京都牝馬Sの498キロから26キロ増の526キロ。「追い切りを重ねてもこれほど増えているとは…」。数字に驚いた同師だが、馬体を見ても太め感はどこにもない。ヴィクトリアマイルのレース当日は524キロ。それから1カ月を挟んだ今回も体重はほぼ変動がなく520キロ台。「成長分としか考えられない。5歳の牝馬としては珍しいケース」。牝馬の重賞ウイナーを6頭育てた師は語る。

 ヴィクトリアマイル(9着)を含めて7戦連続で最速の上がりを使いながら、馬場と展開に泣かされてきた。「スローペースで大外から追い込み切れないレースの連続。前走も差を詰めているが、前残りの馬場ではいかんともしがたい」と振り返る。ヴィクトリアマイルでは先手を奪ったヴィルシーナがそのまま押し切るほど東京芝コースの内ラチに緑のじゅうたんが広がっていた。ゴールデンナンバーは馬群でごった返す内ラチ沿いを避けて外へ。ラスト3F33秒0の脚で0秒5差まで追い込むのが精いっぱいだった。だが、東京コースも8週目に突入。「時計がかかる馬場になって、追い込みが利くはずだ」と同師は巻き返しに手応えをつかむ。最速の上がりで重賞初制覇を可能にする5歳牝馬の成長力だ。

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2014年6月12日のニュース