「競走馬理研」昨年6月からエクイノム・スピード遺伝子検査を開始

[ 2014年4月16日 05:30 ]

競走馬理化学研究所の戸崎晃明博士

 エクイノム・スピード遺伝子検査とは2本で1対になっている染色体(父系、母系1本ずつ)中のミオスタチン遺伝子(筋肉量をコントロールする)の遺伝型を解析し、距離適性の傾向を推測するもの。3つの型があり、短距離傾向が強いのが「C/C型」(2本の染色体ともシトシンと呼ばれるDNA)、中距離傾向型が「C/T型」(1本の染色体がシトシン、もう1本がチミンと呼ばれるDNA)、中・長距離傾向型が「T/T型」(2本の染色体ともチミン)。「C/C型」は筋肉量がやや多く、その筋線維には瞬発力を生み出す速筋が多く含まれている。「T/T型」は筋肉量がやや少なく、筋線維の比率は持久力を生み出す遅筋が多い。「C/T型」はその中間だ。

 距離別に勝利馬の遺伝型の割合を見ると、2000メートル戦の勝ち馬の約65%が「C/T型」で、「T/T型」は約30%、「C/C型」は5%にすぎない。2400メートルでは「C/T型」と「T/T型」が拮抗(きっこう)。英国馬ドーンアプローチのような「C/C型」は皆無だ。競走馬理化学研究所の戸崎晃明博士は「エクイノム社によって実施されたトレーニングコースを使ってのサラブレッド実測調査でも最高速度の数値はC/C、C/T、T/Tタイプの順で高くなる傾向がある」と言う。

 「C/C」の両親からは「C/C」の子供しか生まれないなど、この遺伝型には人間の血液型同様、一定の法則がある。計画的な交配や遺伝型を踏まえたトレーニングも可能になるのだ。同研究所では昨年6月から検査を開始(1頭あたり8万1000円=消費税8%込み)。馬主や牧場などからすでに300頭超の申し込みがあったという。同博士は「馬の能力には遺伝要因とともに調教など環境要因もかかわっている。エクイノム・スピード遺伝子検査は距離適性の傾向を知るための指標の一つ」と語るが、画期的な材料になるのは間違いない。

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