【2014年中央競馬】二刀流の超特急 アジアエクスプレス世界へ

[ 2014年1月1日 05:30 ]

朝日杯FSを制したアジアエクスプレス(手前)が世界を狙う

 2014年も中央競馬にくぎ付けだ。3歳牡馬戦線の注目は3戦無敗で朝日杯FSを制したアジアエクスプレス(手塚)。待望久しかった芝、ダート不問、“二刀流”の大物だ。その圧倒的なスケールから早くも海外遠征待望論も出ている。3歳牝馬からはレッドリヴェール(須貝)をピックアップ。小柄な体だが勝負根性は超一流だ。

 新年の3歳牡馬戦線ではアジアエクスプレスのキャラクターが際立っている。ダート2戦2勝で挑んだ朝日杯FS。初芝が嫌われ4番人気。それをあざ笑うかのように強烈な末脚を繰り出し、無敗の2歳チャンプに輝いた。

 「ムーアが馬を信じて乗ってくれた」と振り返った手塚師。3角までは置かれ気味で鞍上の手も動いた。芝適性を疑いかけた直後の強襲劇だった。「ダートでも促さないと走らないところがあった。オートマチック車じゃない。マニュアル車なんだ」とユニークに例えた。「ゆとりがあるということ。ただね、朝日杯はきちっと(体を)つくったよ」。こん身の仕上げで挑んだ一戦だったことを明かした。

 激戦後はさすがに反動が出たが、現在は福島県ノーザンファーム天栄で放牧中。注目の今後だが、ドバイは馬場(タペタ)適性を考慮し見送る方針。「絶対能力が高い。次は芝を使うことになると思う。毎日杯(3月29日、阪神)もあるし、ニュージーランドT(4月12日、中山)もある。でも、まだ流動的」。師は次々とレース名を挙げ、悩ましげ。対応力が優れているがゆえの、ぜいたくな悩みだ。

 そして、ビッグプランも披露した。あくまでもオーナーサイドの意向が最優先とした上で、「ケンタッキーダービー(14年5月3日、米チャーチルダウンズ競馬場)なんていいけど、出走には米のレースでポイントを稼ぐ必要があるからなあ。ユニコーンS(6月22日、東京)をぶっち切ったらブリーダーズC(10月31日、米サンタアニタパーク競馬場)もいいかな」と米遠征に言及。「米国産馬だから、いずれは米国で走らせたい」と夢を語った。

 芝、ダート兼用の二刀流、アジアの超特急に無限の可能性を感じ取っている指揮官。14年、夢はどこまでも広がる。

 ▼ブリーダーズC 2日間にわたって開催されるアメリカ競馬の祭典。13年は重賞14競走が行われた。最高峰は総賞金500万ドル(約5億2500万円)、ダート約2000メートルで行われる「クラシック」。日本調教馬は過去4頭が挑戦し97年タイキブリザード、04年パーソナルラッシュの6着が最高。最近では11年、芝2400メートルで行われる「ターフ」に出走したトレイルブレイザーが4着。開催は北米内競馬場の持ち回り制だが、今年は3年連続でカリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場で行われる。

 ▼サンタアニタパーク競馬場 米カリフォルニア州、ロサンゼルス東部に位置する、1934年開場の歴史ある競馬場。パドックには名馬シービスケットの像がある。全コース左回りで、ダートは1周1609メートル、直線274メートル、芝は1周1408メートル。59年にはワシントン・バースデーHでハクチカラが優勝、日本産馬の海外競走初勝利の舞台となった。95年からは大井競馬場と友好交流提携を結んでいる。

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