【新潟2歳S】ハープスター、最後方から圧巻の17頭抜きV!

[ 2013年8月26日 06:00 ]

大外から突き抜けたハープスター(右)が新潟2歳Sを制す

 数々の名牝を輩出した松田博厩舎から、また1頭、大物牝馬が出現した。「第33回新潟2歳S」は、ディープインパクト産駒ハープスターが圧巻の追い込みV。祖母は93年に桜花賞、オークス2冠のベガ。来春のクラシックが、今から楽しみな逸材だ。

【レース結果】

 1頭だけ別次元で競馬をした。衝撃という表現がぴったりくるハープスターの独り舞台だった。「馬が進んで行かなかった」と川田が振り返ったように、スタート直後から最後方を追走。4角を回り終え、直線に向いても位置取りは変わらない。659メートル。日本一の長さを誇る新潟外回りの直線とはいえ、残り300メートルを過ぎてもまだ後方のまま。届くのか…。1番人気馬のレースぶりにざわつく場内のファンをあざ笑うかのように、その剛脚を発揮したのは残り200メートルから。大外から他馬が止まったかに見える加速で突き抜けると、後続に3馬身差をつけて悠々とゴールした。数秒前まで後方にいた馬が、一瞬ではるか前方にワープしたかのよう。3F32秒5の剛脚に、ライバルは、なすすべがなかった。

 「馬のリズムを崩さないことを考えて、あの位置に。直線に入ってからも進んで行かないので焦ったが、加速しだしてからが違った。これだけの勝ち方。大きいところを狙っていける」。内心ヒヤリとしながら追っていた川田に対し、殊勲のコンビを迎えた松田博師は余裕の笑顔。「新馬戦も窮屈なところを伸びてきたし、あの位置でも心配していなかった。普段からおとなしくて自由に調教できる馬。伸びしろ?あってくれないと困るよ」

 ベガ、ブエナビスタなど数々の名牝を育て上げてきた松田博師。ハープスターはベガの孫娘にして、ベガの血を受け継ぐ唯一の牝馬だ。「この血統で勝てたのはよかった」。指揮官がしみじみ話せば、同馬を生産したノーザンファームの吉田勝己代表は「ベガの忘れ形見だからね。うれしいよ」と喜んだ。

 年内の最大目標はもちろん阪神JF(12月8日)。「まだおなかの出た体形だし、これからもっと締まってくる。楽しみだな」。報道陣からG1級ですね、と質問が飛ぶと「まだまだ強い馬が出てくるから分からんよ。ウチ(の厩舎)からな」と豪快に笑い飛ばした指揮官。こと座の1等星「ベガ」の別名から名付けられたハープスター。晩夏の越後路に強烈な光を放った少女は、秋へ、来春へと輝きを増す。

 ◆ハープスター 父ディープインパクト 母ヒストリックスター(母の父ファルブラヴ)牝2歳 栗東・松田博厩舎所属 馬主・(有)キャロットファーム 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績2戦2勝 総獲得賞金3763万7000円。

続きを表示

この記事のフォト

2013年8月26日のニュース