【函館記念】洋芝レースは降水量で見極める、天候次第で高速化

[ 2013年7月9日 06:00 ]

 洋芝=パワーを要する。今や競馬の常識だが、そのメカニズムは?今週は函館記念の舞台、函館の洋芝を徹底解剖。同競馬場の馬場造園担当、“洋芝のプロ”である野津智専門役(38)に、野芝との違いを聞いた。

 「まず、構造が異なります。野芝は“ほふく茎(ランナー)”という地下で横に広がる茎があり、横のつながりが強く掘れにくい。ランナーがない洋芝は横のつながりが弱いですが、根が絡みあってスポンジ状の“マット層”をつくり、これが保水とクッションの役割を果たします」

 葉の形や厚さは、ほとんど同じ。芝丈も変わらないが「生える密度が洋芝の方が濃い」(同専門役)という点がポイント。確かに函館競馬場の芝を歩いてみると、足に絡みつく感じがする。

 ただ、芝が密集=時計がかかるとは言い切れない。「タイムにはマット層の水分量が関わってきます。マット層があるため、洋芝は野芝より保水性が高く、その分、時計を要します。雨が降らない日が長く続けば、マット層も乾くので速くなります」(同専門役)。雨が少なかった10年の勝ち時計は1分58秒5(マイネルスターリー)。洋芝らしいパワー優先の馬場になるかは、長期的な積算降水量次第となる。この考察を受け、今年の狙い馬は?05~07年に函館記念3連覇を飾ったエリモハリアーと同じ厩務員が担当する、トウカイパラダイスが実に魅力的な存在だ。どんな馬が函館で走るのかを熟知する谷中(たになか)厩務員は「ハリアーは水も合うし馬場も合うし…という感じで、道悪も上手だった。パラダイスも時計がかかる馬場の方がいいと思うよ」

 さて、今週末のマット層の水分量は?JRAがホームページで公開している1週間の降水量をチェックすれば、ある程度のイメージは湧くはずだ。

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2013年7月9日のニュース