【桜花賞】プリンセスジャック 母の弔い合戦だ

[ 2013年4月4日 06:00 ]

栗東トレセンの桜の木の下を歩くプリンセスジャック

 【G1ドキュメント=3日】4月から大阪所属となった寺下は思い出していた。東京レース部時代に初めて栗東トレセンに足を踏み入れたのが2年前の桜花賞だった。勝ち馬マルセリーナの取材をしていながら、痛恨の無印。ほろ苦い栗東デビューだった。

 心機一転。今年の桜花賞出走馬は関東馬6頭を含め全て栗東に集結。勝ち馬はこのトレセン内にいる(当たり前か)。寺下が注目したのは幸運馬!?プリンセスジャックだ。最終追い切りは馬場開場45分後の坂路。荒れた馬場を苦にせず馬なりのままラスト1F13秒2を計時。見届けた寺下は加用厩舎へ。「順調に調整できたよ」と、加用師が笑顔で出迎えてくれた。

 登録段階ではサンブルエミューズと共に抽選対象(確率2分の1)だった。先週の28日、賞金上位馬が回避を発表。抽選はなくなったが関門はまだあった。賞金下位馬が31日のマーガレットSに出走。賞金加算してくれば、再び抽選対象になる可能性も。だが無事に出走にこぎ着けた。

 そして、ここは弔い合戦でもある。プリンセスジャックの母ゴールデンジャックは先月15日、心不全のため急死。母は94年桜花賞13着、オークス2着とクラシックに出走。引退後は重賞3勝馬サイドワインダーなど9頭をこの世に残したが、牝馬が少なくプリンセスが2頭目。「桜花賞に出られなかったら、繁殖入りするという話もあった。出られて良かった」と師。天国にいる母のひと押しがあれば、悲願のクラシック制覇も夢ではない。最後に寺下は厩舎で作業する担当助手にあいさつ。「一番勝ちたいレースなんや。似合うやろ」と“桜”井助手。満開の桜をジャックするのは、この馬かもしれない。

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2013年4月4日のニュース