【アイビスSD】旬の男大野 “同姓”北島三郎も応援

[ 2012年7月20日 06:00 ]

<アイビスSD>今週も大野から目が離せない

 関東期待の若武者が今週も波乱の主役だ。新潟メーン、電撃の1000メートル戦「アイビスサマーダッシュ」で大野拓弥騎手(25)が、15日の函館記念(トランスワープ)に続く、2週連続重賞制覇に挑む。騎乗馬は直線競馬に実績のあるナイアード。デビュー8年目の伸び盛りが再びタイトルをつかむ。

【アイビスSD】

 真夏の強い日差しにヘルメットの下から汗が噴き出す。「いやー、美浦はかなり暑いですね」。6週間の函館滞在からトレセンへと戻った大野は、まぶしそうに太陽を見上げ、すぐに次の馬へとまたがった。息つく間もなく調教をこなす。調教時間終了間際、ようやく体が空き、胸にしまい込んでいた重賞連覇の手応えを口にした。

 「ナイアードは大敗続きですが新潟の芝ならチャンスはあります。この2戦のようなことはないです」。前々走・アンコールS(14着)、前走・函館SS(11着)共にどん尻負けだが敗因はつかんでいる。

 「小倉の時は輸送熱。函館では洋芝が合わなかった。蹄(ひづめ)の形の関係でスピードに乗れず、フォームまで普段と違っていました。ハナを切っても余裕なし。でも新潟のスピード競馬なら一変が可能です」

 自信の裏付けは3走前の京阪杯(4着)の感触だ。ロードカナロアなど強豪相手に逃げ粘った。「あのレースをすれば通用するし、出来もいいと(粕谷)厩舎から聞いています」

 思い切りのいい騎乗ができるようになったと評判だ。デビュー7年目の昨年、自己最多34勝を挙げ、重賞(中日新聞杯)初制覇。今年も既に30勝をマークと、勢いを持続している。「ずっと重賞を勝てず、もう駄目だと思った時期もありましたが初優勝で余裕が出てきました。レースが見えてきた面もあります。年内に通算200勝をクリアしたい」。目下188勝。目標は視界に捉えている。

 周囲の期待も大きい。「キタサン」の冠名で競走馬を所有する歌手・北島三郎が「あの子は乗れる。俺と同じ名字(本名は大野)だから特に注目しているが、若手ではピカイチ」と語ったことがある。田中勝は「騎乗のバランスがいいから乗り数さえ増えれば伸びると感じていた」と言う。田辺、石橋脩ら若手の台頭が目立つ美浦。2戦連続どん尻からの反転攻勢へ、今週も主役は大野だ。

 ◆大野 拓弥(おおの・たくや)1986年(昭61)9月8日、埼玉県越谷市生まれの25歳。05年、杉浦厩舎所属でデビュー。11勝で関東新人騎手賞受賞。独身。1メートル62、46・5キロ。血液型B。

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