【オークス】ユアーズ導く、ウィリアムズ“神騎乗”

[ 2012年5月18日 06:00 ]

<オークス>アイムユアーズに騎乗するクレイグ・ウィリアムズ騎手

 空前の混戦は神の手綱に懸けろ。牝馬クラシック第2弾「第73回オークス」の出走馬、枠順が17日、決定した。注目は短期免許で来日後、G2・2勝、G1・2着2回。重賞連対率100%を誇るオーストラリアの名手クレイグ・ウィリアムズ(34)。重賞2勝馬アイムユアーズ(手塚)とのコンビでJRAのG1・4勝目を狙いにいく。オークスの馬券は、19日から全国の競馬場、ウインズで前売りされる。

【オークス】

 来日から2週、ウィリアムズは重賞をジャックし続けた。5、3、4、7番人気と決して主役ではない馬での4連続連対は、神業以外の何ものでもない。オークスで騎乗するアイムユアーズにも、が然注目が集まる。その手腕の秘密は?色めき立つ周囲をオーストラリアの剛腕は冷静に受け流した。「自分が好調というより、いい馬に乗せてもらっていることが大きい。だから“頑張ろう”と思えるし、さらに集中できる」

 結果を出し続けられるのは、日本にしっかり適応しているからだ。「寿司、天ぷら、お好み焼き。日本食で嫌いなものはない」。筋肉質に見える体形だが「日本食は選択肢が多いから、カロリーのコントロールはむしろ楽」と言ってのける。

 岩田と冗談を飛ばし合うなどコミュニケーション能力も抜群。テレビカメラには投げキス。顔いっぱいに笑いジワを作り周囲を和ませる。

 しかし、ひとたび馬にまたがれば鬼神と化す。サインに添えるモットーは「show no mercy(慈悲なし、容赦なし)」。妥協のない姿勢で絶好のポジションを奪い、追いまくる。調教師席では「1人だけ存在感が突出している」との声が上がっている。

 どのレースでも好位にいけるのが最大の強み。スタート後、素早くベストポジションを奪う。「ここが欲しいという場所に、いつもウィリアムズがいる」と、ある日本人騎手がこぼした。それでいて馬との呼吸もぴったり。道中で力むことの多かったサダムパテックと難なく折り合い、京王杯SCで1年2カ月ぶりの重賞Vに導いたのは衝撃だった。直線での豪快な追いっぷりも、さすがの一言。アイムユアーズはポジション争いに不安のないタイプだが、過去の重賞2勝が共に1400メートル。距離に一抹の不安があるが、ウィリアムズが最大限に折り合わせることでスタミナの効果的な配分が期待できる。

 その神騎乗を支えるのが熱心な研究ぶり。金曜にはDVDで騎乗馬の過去のレース映像をチェック。目を光らせるのは、その走りだけではない。アイムユアーズについて、こう語ったこともある。「(春2走に騎乗していた)ピンナは“距離が大丈夫かな?”と言っていたが、血統表を見たら、いけそうだ」。この男の引き出しは、いくつもある。「フォームがきれい。馬の形もいい」。初騎乗馬も多角的に分析し、まるで過去に騎乗したかのようなレベルまで理解をもっていく。

 手塚師も「彼は凄く調子が良さそうだし、任せておけば大丈夫」と全幅の信頼を寄せる。研究の末に丸裸にしたアイムユアーズを完璧に御し、ウィリアムズが頂点へと導く。

 ◆クレイグ・ウィリアムズ 1977年5月23日生まれ、オーストラリア出身の34歳。06年12月2日の阪神11R(エイシンドーバー)でJRA初勝利。07年ワールドスーパージョッキーズシリーズ優勝。10年天皇賞・春(ジャガーメイル)、11年NHKマイルC(グランプリボス)、朝日杯FS(アルフレード)でJRA・G1・3勝。JRA通算444戦40勝(重賞5勝)。1メートル63、50キロ。血液型O。

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