南関ラストレース…勇退の出川龍師、有終の美を

[ 2012年5月18日 06:00 ]

勇退する出川龍一師。右は先代から続く伝統の厩舎看板

 【地方競馬です!!】羽田盃、東京ダービーの2冠を制したナイキアディライトなどを育てた出川龍一調教師(69=船橋)が31日付で勇退する。18日、川崎競馬8R出走のダークセクターが南関でのラストレース。20日、JRA東京競馬場で行われる8Rガーベラ賞のリリヤンが出川龍厩舎最後の出走となる。

 父で船橋の名調教師だった己代造師の背中を見て、ごく自然な流れで競馬の世界に入った。厩務員、調教師として約50年。地方競馬を取り巻く環境が厳しくなったこと、若い頃に比べて自らのフットワークが重くなったことなど、いろいろなことを考えて引き際を決めた。

 アディライトと、南関所属馬として初めてJRAの桜花賞に出走したエミーズスマイル。この2頭は師の競馬人生の中でも忘れられない馬だという。「アドマイヤドン相手にアディライトが鼻差2着に敗れた帝王賞(04年)は本当に悔しかった。いい思い出はたくさんあるけど、実は悔しかったことの方をよく覚えている」。そう懐かしむ表情に勝負師の顔がのぞく。

 「この看板はどうしようか」。父から受け継いだ厩舎の看板を見て思案顔の師。「大変なことの方が多かったが、それでもやっぱり競馬は面白い」。苦楽を共にしてきた馬や厩舎スタッフとの別れは寂しいが、最後のレースまで全力で駆け抜ける。(秋田 麻由子)

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2012年5月18日のニュース