【セントウルS】ヴァーゴウ逆転“夏の千二女王”!

[ 2011年9月12日 06:00 ]

<セントウルS>ゴール前の大接戦を頭差制したエーシンヴァーゴウ

 秋競馬の開幕戦で劇的な逆転が待っていた。サマースプリントシリーズ最終戦・セントウルSを制したのはエーシンヴァーゴウ。アイビスSDに続く重賞2勝目で首位カレンチャンを抜いてシリーズVを達成した。2着は香港馬ラッキーナイン。1番人気ダッシャーゴーゴーは3着に終わった。

 勝つしかなかった。エーシンヴァーゴウがサマースプリントシリーズVを決めるには1着が条件。ゴール前は1番人気ダッシャーゴーゴーに外から並ばれる苦しい展開。万事休す。そう思われたが、根性の伸びで逆転優勝を決めた。田辺は会心の笑みだ。

 「手応えはいっぱい。馬が頑張ってくれた。追い出すと左へ行くので、外と併せる形になってかえって良かった」

 道中は2番手を追走し、4角で前を射程圏に。だが、関東リーディングを争う成長株の27歳は「仕掛けるのは極力待とうと。相手は(先頭を行く)テイエムオオタカだけじゃないので」と決して焦らない。この貯金が最後の伸びにつながった。

 「ペースが遅かったのが凄く良かった。脚はたまっていたので直線の坂も頑張れた。徐々に不安を克服している。馬の成長もあるんでしょう」

 勝てばチャンピオン。プレッシャーの懸かる一戦だったが、田辺は「意識しないでいこうと思っていた」と語る。この自然体が持ち味だ。先月8日に28歳の女性と結婚した。夫として初の重賞Vだが「生活は何も変わらないですね。競馬を見る嫁さんじゃないんで。普段、競馬に関する会話はゼロです」。飾らぬ言葉そのままに、淡々と大きな仕事をやってのけた。

 これで陣営は賞金5000万円をゲット。次はG1スプリンターズSへと期待が懸かる。不在の小崎師に代わって表彰台に立った中村助手は「オーナーと相談してですが、もう1戦頑張ってもらえたらありがたい」と前向き。オーナー代理として表彰された平井淑郎氏も「いいレースに出させてもらうことになると思う」と語った。メンバー強化、直線の坂といった課題をはねのけての勝利は、秋最初のG1へとしっかりつながっていく。

 ◆エーシンヴァーゴウ 父ファルブラヴ 母カンザスガール(母の父サンダーガルチ) 牝4歳 栗東・小崎厩舎所属 馬主・栄進堂 生産者・北海道浦河町栄進牧場 戦績15戦7勝 総獲得賞金1億8320万7000円。

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