【新潟記念】クリスタル、武豊の手腕で連覇!

[ 2011年8月29日 06:00 ]

<新潟記念>レースを制したナリタクリスタル(5番)

 サマー2000シリーズ最終戦「第47回新潟記念」は昨年の覇者ナリタクリスタルがトップハンデ57・5キロをものともせず、武豊の華麗な手綱さばきに導かれて連覇を飾った。

 ゴールの瞬間、武豊は心からの笑みを浮かべた。「ナリタクリスタルは本当に難しい馬。気が乗らないとレースをやめ、1頭になると物見をする。持っている能力は高いんだが…。でも今回は良かった。力を出し切れてホッとした」。幾多のG1を制した名手のテクニックが、誰もが手を焼く難しい馬を連覇に導いた。

 序盤、誰も行かないなら行くぞという姿勢で前に出た。サンライズベガが行く気を見せるとサッと引いて2番手へ。このタイミングが絶妙だった。「物見しかねないので誰かに行ってほしかった。絶好のポジションに収まった。いいペースで引っ張ってもらえたのも好都合だった」(武豊)。

 残り400メートルで派手に右ムチ。自分の馬の伸びを確認すると同時に、武豊は逃げ馬ベガの脚色を凝視した。「早く先頭に立つと、こちらは止まってしまう。もっと粘れと祈った」。計算通りにベガは粘り、残り200メートルで満を持して先頭。物見防止!?に突き放すことはなかったが着差(首)以上の強さで連覇を果たした。

 木原師は鞍上に敬礼だ。「返し馬から物見して心配したが、豊君はこの馬のことをよく知っている。安心して任せられた」。57・5キロのトップハンデを背負いながら人気勢を寄せ付けなかったように、この馬自身の地力強化も見逃せない。「気持ちに問題はあるが強い馬であることは間違いない」。指揮官は語気を強めた。

 これで2000メートルは重賞3勝を含む5勝。当然、秋の目標は天皇賞(10月30日、東京)だが、その前に1戦挟む可能性もある。武豊自身もレパードS(ボレアス)に続く2週連続重賞V。勢いに乗ったコンビに収穫の秋が待っている。

 ◆ナリタクリスタル 父スペシャルウィーク 母プレシャスラバー(母の父ペンタイア) 牡5歳 栗東・木原厩舎所属 馬主・オースミ 生産者・北海道白老町白老ファーム 戦績25戦8勝 総獲得賞金2億5098万1000円。

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