リルダヴァル 最内枠に入った皐月賞で不安よぎった

[ 2010年4月22日 09:59 ]

リルダヴァルの体を洗う片山調教助手

 ウマドル・桜井聖良が、皐月賞のレース後を取材。6着リルダヴァルの馬房を訪問し、名門・池江泰郎厩舎の片山調教助手に当日の心境や、骨折のことから同馬の性格など幅広く聞いた。

皐月賞を戦い終えて

 こんにちわ。桜井聖良です。どうしても聞きたかった、あのお馬さん。その名はリルダヴァル。骨折休養が明けて臨んだ毎日杯で3着。なんとか間に合った皐月賞では勝ち馬にコンマ4秒差というきん差の6着でした。

 デビューからクラシック出走までは山あり谷あり。私には計り知れないほど複雑な思いを関係者の方々は抱いていたはずです。そう思えば思うほど、どうしてもお話を聞きたい!そう思いながら、中山競馬場の馬房へ猛ダッシュ。「リルダヴァル~。リルダヴァル~」。キョロキョロしながら、こう叫んでいたときに、偶然出会ったのが、なんとリルの調教助手・片山さんでした。皐月賞後のすごくお忙しいところに、失礼ながら取材をお願いすると、丁寧に対応していただいたので、たっぷりとお話を聞くことができました。

 私が一番知りたかったのは、この大舞台に立つことができたことに対しての感想。レースを終えた率直な感想を伺うと、「無事でよかった」とひと言。骨折を経験しているだけあって、何事もなくゴールしてくれたことにまず安どの表情を浮かべていました。

 でも、勝負として見ると、不安が大きかったと片山さんは振り返ります。

 「急坂は阪神で勝っていたからそこまで心配していなかったです。ただ1枠でG1。揉まれてしまったらどうしよう、スタートして引っかかったらどうしよう…。逆に野路菊野Sの時みたいに出遅れたらどうしよう…。と、不安なことはいっぱいでした」。

 初の中山だったし、最内枠。この影響は、少なからずあったようです。骨折が癒えてから日の浅いリルダヴァルの脚元を案じた片山さんは、当日の芝の状態を入念に(騎乗予定の)福永祐一騎手に対して確認していたのです。

 「輸送に関しては、小倉まで行っていたから、そこより中山は短い距離だし、さほど心配していなかった。弥生賞、スプリングSと、外より内が次第に荒れてくるのを見ていたので、中山に到着して1番初めに馬場を見に行きました。祐一君に芝で乗った感じから内馬場がどんな状態かを聞きに行くと、“やっぱり内側は荒れてる”という答えでした。リルがちょっと可哀想だと思いました」。

 結果は陣営の不安が的中し6着。体が大きいから、小回りコースで最内はちょっと可哀想、本当は良馬場で走らせてあげたかった。そんな感想を片山さんへ伝えると「本当はね…」としんみり。「トビもキレイ」というので、もっと広いコースのほうが力を発揮できる気がします。

 リルの魅力はなんといっても末脚の破壊力。7冠馬ディープインパクトをおじにもち、2歳時に出走した野路菊Sでは、上がり3F33秒2という異次元の末脚を繰り出しました。それを考えると、直線が長いコースの方が合うのかなという印象。このことについて、片山さんはキャリアが浅く、皐月賞では本来の伸び脚を発揮できなかったとおっしゃいました。

 「それはそうですね。あの2歳の時のことを考えたら、本当はタメてヨーイドン!の競馬の方がいいんだろう。けど、毎日杯、皐月賞とそういう競馬が出来ませんでした。この枠ではやはり外に出せないですよね。(福永騎手が)直線で一度試みてくれていたけど、やっぱり閉められているから。結局は内に飛び込んでいましたね」。

 皐月賞ではキャリアの浅さと最内枠がレースに響いた形のリルダヴァル。実は、ここまで来るのには、スタッフさんの多大なご苦労と気遣いがありました。世代トップ評価を得ながら、まさかの骨折。涙なしには語れない物語。それはまた次回をお楽しみに~。(つづく)(馬バカのウマドル・桜井聖良)
 

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2010年4月22日のニュース