「ばんえい王者」最高の舞台で復活

[ 2009年4月3日 06:00 ]

 【池田裕文の「公営です」】帯広「ばんえい記念」が3月29日に行われた。ばんえい自体が北海道にしかない特殊な競馬だが、中でも記念は特別だ。積載重量1トンは唯一無二。08年4月~09年2月の1日平均入場1446人、同売り上げ約7650万円に対し、この日だけで入場3954人、売り上げ約1億6140万円だった。

 同日他競走の重量は510キロ~735キロで勝ち時計は1分33秒9~2分20秒2。記念は4分50秒8で最下位が7分超。それだけでも過酷さは察しがつく。歴戦のつわものが何度も止まる。力を振り絞り再び動きだす。ばんえいに縁のない人はその様子を「かわいそう」と感じることが多いようだ。しかし、現地で見れば変わると思う。最下位馬がゴールするまで観衆は移動せずに見守り、終了の瞬間、大きな拍手がわき起こる。そんな競馬は他にない。厩務員が競走直後、馬に寄り添い、声を掛ける光景は言葉が聞こえずとも胸に響く。
 高重量戦、力勝負で、より持ち味が出るトモエパワーは08年ばんえい記念V後、1年間勝てなかったが、1番人気に推されてV3達成。西弘美騎手は「調子が上向いた時に(そりが滑りやすくなる)雨馬場になったりして結果が出なかった。前日の雪を少し心配したが(馬場水分)2・3%でとどまったのは好材料だった。とにかく凄い。ご苦労さまとしか言いようがない」と王者をねぎらった。

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2009年4月3日のニュース