強いネヴァブション帰ってきました/AJC杯

[ 2009年1月26日 06:00 ]

<アメリカジョッキークラブカップ>レースを制したネヴァブション。鞍上の横山典弘はナンバー1ポーズ

 年初の中山開催を締めくくるG2「第50回AJC杯」が25日、中山競馬場で行われた。2度の骨折を克服したネヴァブションが快勝、完全復活で春の天皇賞へ名乗りを上げた。2着にもエアシェイディが入り、伊藤正厩舎がワンツー・フィニッシュを決めた。

【AJC杯


 2度の骨折を乗り越え、ネヴァブションが完全復活した。スタートでスッと好位3番手を確保すると、道中は内ラチ沿いの経済コースで折り合いに専念。4角で2番手まで押し上げ、3馬身前方で軽快に逃げるキングストレイルを射程圏に。残り100メートルで一気にかわすと独走態勢。最後は手綱を緩める余裕を見せながら、後続に2馬身半差をつける楽勝。07年日経賞以来、1年10カ月ぶりに味わう美酒だった。
 開催最終日で前日までの雨の影響が残る荒れた芝。ガッツポーズで引き揚げてきた横山典は「馬場がよくないので切れ味勝負では分が悪いと思って前々の競馬をした。勝春(キングストレイル)がいい感じだったので、かわすまで少しモタモタしたけど、並んでからは強かった」と会心の騎乗に笑顔を見せた。
 2着も同厩エアシェイディ。ワンツー制覇だが、伊藤正師はしんみりとした表情で切り出した。「弔い合戦だったかな…」。この日の中山9R若竹賞に出走したトレノパズルがレース中に右前管骨骨折を発症。4着でゴールしたが、症状が重く安楽死処分となっていた。名義は異なるが、ネヴァブションと同じ廣崎利洋オーナーの所有馬。不慮の事故で旅立った弟分にささげる激走でもあった。
 ネヴァブションも07年ステイヤーズSで右前脚に2度目の骨折。昨秋のAR共和国杯で11カ月ぶりに戦列復帰を果たし、4戦目で本来の走りを取り戻した。「骨折は2回とも同じ部位。今度やったら最後なので“石橋を叩いても渡らない”くらい、慎重に調整してきた」と伊藤正師。「何もなければG1級だと信じていた馬。足踏みしたが、結果が出てよかった。生命力の強い馬です」と復活を称えた。
 師が「真のステイヤー」と評するこの馬の目標は、もちろん天皇賞・春(5月3日、京都)。「ゆっくりと疲れを取って本番前に使うレースを決めたい」と今後も脚元をケアしながらの挑戦が続く。メイショウサムソンも、昨年優勝のアドマイヤジュピタも引退して大混戦の盾路線。悪夢を振り切り、6歳にして輝きを取り戻したネヴァブションが一躍、主役候補に躍り出た。

 ▼ネヴァブション 父マーベラスサンデー 母パールネックレース(母の父ミルリーフ)牡6歳 美浦・伊藤正厩舎所属 馬主・ティーエイチ 生産者・北海道新冠郡新冠町早田牧場新冠支場 戦績27戦7勝 総獲得賞金2億4861万4000円。

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2009年1月26日のニュース