【村田と一問一答】井上のような試合で統一…ファンの期待に応えたいという気持ちと怖いという気持ちが…
ボクシングのトリプル世界戦は23日、横浜アリーナで行われ、WBA世界ミドル級タイトルマッチは王者・村田諒太(33=帝拳)が同級8位の挑戦者スティーブン・バトラー(24=カナダ)と対決。5回終了間際に左フックがさく裂しTKO勝ちし、初防衛に成功した。
【村田と一問一答】
――振り返って。
「控え室で凄く調子が良かったので、正直、もしかしたらパッと終わるかも知れないと自分に期待を持ってしまって、ちょっと初めは狙って堅かった。往々にしてあること。控え室でいいと、試合で結果が出ない」
――序盤から相手が向かってきた。
「もっと足を使ってくると思った。思ったよりパンチがあった。KO率が低いので、パンチがないやろと思った。ボディーストレートも強かったし、いいものを持っていた。強い選手でした」
――試合のコントロールには満足か。
「結果、5回で終わったのであれなんですけど。あのジャブだけで判定まで行ったら全然満足していない。前の試合もあって、早く倒したいとか、いいところを見せたいとどこかしらあった。そこも経験値だと思います。それは仕方ない」
――強引に右に行っていたのがその部分。
「ですね。会長にはセコンドで冷静に、冷静にと言われたが、はじめは聞けなかった。そこは反省すべき点かなと思います」
――距離感は。
「ジャブが当たったというのもあって。それはビデオを見返さないと」
――右の感覚はどれくらいからつかめたか。
「ジャブは1回からつかめてました。3回の最後ですか、右が当たるなと思いました」
――ダメージは。
「そんなになかったです。ただ、ボクシングのダメージは何種類もあって、ガクンというダメージと、目を離されて視界が悪くなって受けるダメージがある。右です」
――ボディーの効果は。
「効いていたと思いますよ。ただ自分が打たれて弱いと分かっていたので、凄くブロックしていたし、当日計量で彼は79キロくらいあった。体的にも凄く作っていた。強かったです」
――3回途中から相手のパンチに腰が入ってなかったが。
「疲れてきたなと思いました。3回から。3回終わった時に、会長から相手は必死だぞ、これ以上ない。アッパーとフックをカウンターで狙ってくるから、そこだけもらうなよと言われた。そこは冷静でした」
――コンディション作りは前回を踏襲か。
「スパーリングでいい状態を作った。スパーリングは試合に近い。それにいい状態を作れずに、試合で作れるはずがないので」
――確立できたか。
「今はこれで大丈夫だと思う」
――プレッシャーを掛けるスタイルが合っているか。
「そう思います。相手が1、2回と飛ばしてきたので、それもあると思う。僕のプレッシャーが強くて疲れさせたという感じではないです。相性があるので。ただ、ボクシングの根本で、プレッシャーを掛けられた方が疲れる」
――今回のテーマ。
「前回の試合で形が確立できたと思うので、それを突き詰めていくことと、あとは考えすぎないこと。考えることは大事だが、時に考えないことも大事。それを日常からやっている」
――ビッグマッチに向けて。
「外国の方の(リップ)サービスは、分かっているでしょ?試合が終わったばかりなので、気が大きくなっていろいろ言いたくなるけど、エンダム戦後も行ったと思うが、帝拳プロモーションに感謝して、1戦1戦やるだけ。それが次であろうか、その次であろうか、信頼している帝拳プロモーションに任せるだけです」
――リアルとやりたいと言った心は。
「今日もいい相手だったと思います。WBA1位の選手だし。ただ、分かりにくい。WBSSがああいう盛り上がりをした。王者同士のぶつかり合いというのがあって。カジュアルファンに向けてはOKだが、尚ちゃん(井上尚弥)がああいう試合をして、統一していった。そういうのがあると、ファンはそこを求める。ヘビーなファンは。その意味ではそういうファン層に応えたいという気持ちが心のどこかにあって、心のどこかに怖いという気持ちがある。プロとして、分かりやすい試合をしないといけない。チャンピオンが何人いるんだよと。でもさっきも言ったが、マッチメークはそんな簡単なものではない。ミドル級は動いているお金がとんでもないので。そういう意味では現実を見ないといけないし」
――やけに井上尚弥を意識しているが。
「一つ勘違いしてほしくないのは、レースをする気はないです。人生でレースをするのは疲れる。それぞれの道を歩む。ただ日本で2万何千人の客が来て、完全にチケットが売り切れた。それを提供するのがプロ。彼が前例を作った以上は、みんながそれを見たがる。尚弥がやったからこうとかではない。一般的な比較論はしたくない。子を持つ親として、そういう教育はしたくない。そういう考えではないということはくぎを刺させてもらいます」
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