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(3)“この後すぐ”に非難の嵐…苦い経験を糧に

[ 2009年11月30日 06:00 ]

 ボクシング界きっての人気者同士の対決に思いを寄せるのはファンだけではない。“運命の決戦”と銘打たれた今年一番のビッグマッチに、中継するTBSも全力を注ぐ。当日は午後7時58分から90分枠での中継を予定。片山譲治チーフプロデューサー(38)は「ボクシングの世界戦はどんなに長くても47分間。まずは試合をきっちり見せるように努めたい」と青写真を口にする。

 投入するテレビカメラはハンディー型のものを含めてスポーツ中継では史上最多となる30台以上を予定。通常の世界戦の10台を大きく上回る。スーパースローやハイスピードのハイテクカメラで、パンチの衝撃も臨場感たっぷりに伝える。王者・内藤の言う「気持ちのこもった殴り合い」を前面に打ち出すことになる。

 過去には苦い経験もあった。06年7月、興毅がライトフライ級で世界初戴冠を成し遂げたランダエタ(ベネズエラ)戦は、史上最長となる150分枠のロング中継だった。興毅のすべてを伝えようとする試みだったが「いつになったら試合が始まるんだ」といった予想外の苦情が殺到した。だが、今回は一般にも知名度のある両者だけに、前振りは30分程度に抑えてより密度の濃い中継を目指す。

 注目の視聴率について片山チーフプロデューサーは「高い数字が獲れることに越したことはないが、まず今年のボクシング中継の最高を目指したい」と5月に行われた内藤の5度目の防衛戦で記録した平均20・4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)超えを目指す。

 不況の影響でスポンサーが付かないため、世界戦といえど地上波のテレビ中継がないことも珍しくなくなりつつある。しかし、片山チーフプロデューサーは「こんな時代だからこそスポーツのパワーで活気をもたらしたい」と言う。身を削って戦うボクシングの魅力を、見る人に再確認させる責務が両者に課せられている。(特別取材班)  [2009年11月27日付 紙面記事]

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2009年11月30日のニュース