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西田凌佑 日本ジム99人目の世界王者 妻のサポートに感謝「沙捺、獲ったで」

[ 2024年5月5日 04:45 ]

3R、右を繰り出す西田凌佑(撮影・岸 良祐)
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 IBF世界バンタム級タイトルマッチは挑戦者で同級1位の西田凌佑が王者エマヌエル・ロドリゲスを3―0の判定で破り、プロ9戦目の世界初挑戦で王座に就いた。日本ジム所属の世界王者は99人目となった。バンタム級は世界主要4団体のうち3団体で日本人が王者となった。

 右目は開けにくい状態、右顎は輪郭が変化している。守備に定評のある西田が顔をボコボコにされても世界ベルトをつかんだ。「夢みたいです。まだ実感がない」。1952年に世界フライ級王者に就いた白井義男から始まり、日本ジム所属では実に99人目の世界王者となった。

 リングインタビューでは近大ボクシング部同期で全日本女子を3連覇した(旧姓・河野)沙捺夫人へ言葉をかけた。バラエティー豊富な減量食をはじめ、技術や心構えについて助言も受けた。「ありがとうと言いたい。沙捺、獲ったで」。夫人は「ボディー攻めは作戦通り。右目が腫れていたし、右ストレートを結構もらっていたから大丈夫かなあと。でもメッチャ格好よかった」と喜んだ。

 不利という下馬評を覆した。序盤から右ジャブが切れ、4回に左ボディーアッパーをみぞおちに決めてダウンを奪った。「感触はなかったし、まさか倒れるとは…。でも“試合を終わらせられる”と喜び過ぎました」。5回以降に振りが大きくなり、逆に王者の圧力に押された。それも7回から修正した。

 武市晃輔トレーナーは西田について「はっきり言うて並」と手厳しいが、ハートを評価する。「感情の起伏がないというか、強心臓。相手が強くても自分のボクシングができる」。日本人がバンタム級4団体のうち3団体の王者となり、今後は統一戦が期待される。「まだ先のことは考えてないです」。この日だけは余韻に浸る。

 ◇西田 凌佑(にしだ・りょうすけ)1996年(平8)8月7日生まれ、奈良県香芝市出身の27歳。香芝中では陸上部で長距離に励んだ。王寺工でボクシングを始め、3年時に国体フライ級優勝。近大時代を含めてアマ戦績37勝(10KO)13敗。卒業後は製パン大手に就職するが、退職してプロ転向。19年10月にタイでデビュー。21年4月の4戦目で元世界王者の比嘉大吾に判定勝ち、WBOアジアパシフィック・バンタム級王座を獲得(防衛3)。23年8月にIBF世界バンタム級挑戦者決定戦を制した。1メートル70の左ボクサーファイター。

 ≪“ファーストチャンス”は桑原≫初の世界戦に挑む桑原が、日本ボクシング史に名を残す。4日にIBF世界バンタム級の西田が王座を獲得。4大世界戦の先陣を切る挑戦者に、日本ジム所属100人目の世界王者となるチャンスが巡ってきた。ユーリは21年7月にTKO負けを喫した因縁の相手。再起から5連勝と進化を続ける29歳は「2人だけのストーリーがある。一発目なので熱いファイトを繰り広げたい」と雪辱を期した。

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