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(2)ファイトマネー数千万円…すべてを失うリスク

[ 2009年11月30日 06:00 ]

 2年越しで大一番へと踏み出した両雄。6度目の防衛戦となる王者・内藤には自動車事故で不慮の死を遂げた伝説の元WBA世界フライ級王者、大場政夫(故人)を抜く同級の日本人最多連続防衛更新が懸かる。

 長期政権は誰もが予想できなかった。同級世界最多の17連続防衛を誇る前王者ポンサクレック(タイ)に3度目の挑戦で判定勝ちしたのが32歳10カ月。防衛するたびに国内最年長記録を更新し、35歳2カ月でV6戦を迎えた。一方、挑戦を含む過去8度の世界戦の相手はタイ人、日本人、中国人とすべてアジア系。興毅には「(内藤戦で)日本一を証明して世界の舞台に行く」と揶揄(やゆ)されている。

 かつては夫婦共働きで月収12万円の極貧生活を経験。「ボクシングには本当に感謝している」と語る内藤のファイトマネーは「世界王者でも限られた人間しか受け取れないような金額」という数千万円に膨れ上がった。バラエティー番組にも数多く出演しているが、関係者は「現役ボクサーの看板がどんなに大きいかは本人も理解している」という。興毅には勝てると踏んでビッグマッチに乗り出したものの、負ければ引退と“商品価値低下”のリスクを背負う。

 1敗の持つ重みは日本人6人目の2階級制覇を狙う興毅も同じだ。07年10月の内藤―大毅戦の反則騒動でトレーナーの父・史郎氏(44)がセコンドライセンス無期限停止処分となり、指導を受けられなくなった。「小6でボクシングを始めてからずっと一緒やったから。今は自分で試行錯誤しながらやっとる」。自らを「ボクシング・オタク」と評し、海外からビデオを取り寄せて研究するなどあくまで“亀田流”を貫いてきた。だが、日本人との初対決に敗れるようなら、外国人との対戦ばかりで評価が分かれていた実力は再び疑問視され、別の練習スタイル導入など方針転換を迫られそうだ。(特別取材班) [2009年11月26日付 紙面記事]

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2009年11月30日のニュース