向上心の塊・大島洋平 節目より意義深い2001安打目「勝ちにつながる1本を。誰かの安打でも」

[ 2023年9月7日 08:00 ]

<中・D>3回、2000本安打達成の大島はボードを掲げる(撮影・井垣 忠夫)
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 向上心の塊のような男。通算2000安打を達成した中日・大島洋平外野手(37)だ。

 「2000本で終わらず、もう1本打てたことで、新しいスタートが切れたなっていうのが、自分の中には、ありましたね」

 8月26日、バンテリンドームで行われたDeNA戦の3回に中前打を放ち、史上55人目の快挙を達成。その延長12回には通算2001安打目となる右前打を記録した。金字塔を打ち立ててなお、既に視線の先は次を見据えるあたり、一流の風格を漂わせる。

 高いプロ意識は、37歳になっても衰えない鋼のような肉体にも表れている。駒大同期で個人トレーナーを務める土田和楙(かずしげ)氏のトレーニングにある。体幹強化や運動機能を取り戻すことを目的としたもので、14年オフの自主トレでタッグを組み、その際初めてウエートトレーニングを導入した。

 「ウエートは体が固くなりそうなイメージがあって、それまで腕立てとか自重トレしか、していなかったけど、やってみて手応えがあったので。“45歳まで現役でやらせる”と言ってくれているので、やれるように」

 トップクラスの選手は往々にして人間力も優れているが、大島も超いい人。2000安打達成に備えて会食取材を、お願いした時のこと。予定していた日に台風が直撃したり何やらあって、夫人の誕生日前夜になってしまったが、「達成直前より、早い方がいいでしょ?」と、わざわざ時間をつくってくれた。ナイター終了後、日付が変わる前に名古屋市内の飲食店で待ち合わせ。「(夫人に)“誕生日を迎える時に、いないのね”って言われて家を出てきましたよ笑」。平謝りのこちらを気遣い、その場を変な空気にさせないユニークな言い回しで笑い、語ってくれた。

 「自分の中では2500本とか3000本とか、体が動く限りは目指したい。チームの勝ちにつながる1本が、それは自分ではなくても。誰かの安打でも。チームが勝つことが1番なので」。竜の安打製造機は、チームの勝利を求めて安打を量産する。(記者コラム・湯澤 涼)

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