巨人・坂本が待望1号 木村拓也さん命日翌日 恩人が見守る地で光明「広島に来れば常に思い出す」

[ 2023年4月9日 05:20 ]

セ・リーグ   巨人3-6広島 ( 2023年4月8日    マツダ )

<広・巨>7回、本塁打を放つ坂本(撮影・西川 祐介)
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 天国の恩人も安心しただろう。開幕から23打席目。昨季までに通算2205安打を積み重ねてきた巨人・坂本が、ようやく快音を響かせた。7回先頭で床田の直球を捉えると、今季初安打の打球が中堅フェンスをオーバー。「打撃としてはいい当たりで、いい感触。結果が出て良かったけど継続しないと意味がない」と振り返った。

 開幕から19打席無安打で迎えた前日に沈みすぎていた打撃フォームを修正。重心を高くして構える新フォームに変更し、代打で四球を選んだ。安打こそ打てなかったが、今季初出塁で前向きとなり、この日の3打席目に「H」のランプをともした。8回も左前打でマルチ安打。「そこ(構え)は昨日から変えて、いろいろ試しながら」と手応えを語る。

 前日は13年前に亡くなった木村拓也コーチの命日だった。自身がプロ1年目から守備の助言をもらい、遊撃のレギュラーをつかんだ2年目の08年は何度も二遊間を組んだ恩人は、現役引退翌年で内野守備走塁コーチ1年目だった10年4月2日に、この球場でのシートノック中にくも膜下出血で倒れ、5日後の同7日に死去。「僕が19歳の時、タクさんが二塁で多くのことを教えてくれた。広島に来れば常に思い出す」。木村さんのような探究心と全力プレーで、これから巻き返す。

 チームは4連敗で5位に転落。原監督は「一本も良かったし、次もいいのが出た」と坂本の復調気配には一安心も「つながりがなかなか出ない。少し考えないといけない」と打線の組み替えを示唆する。チームの看板を背負う男の復調が、得点力アップの鍵を握る。(川島 毅洋)

 ≪自己ワースト記録≫坂本(巨)が7回に今季23打席目で初安打となる1号ソロ。開幕から22打席連続無安打は08年の10打席を12打席も上回る自己ワースト記録になった。またシーズン初打席からに限らない自身の22打席以上連続無安打は、17、20年の各26打席を最多に6度目。そのうち、13年23打席、14年24打席、17年26打席、今回22打席と、4度の長期連続無安打を本塁打で止めている。

 ▽木村拓也コーチの急逝 ユーティリティー選手として通算1049安打を記録し、09年限りで巨人で現役を引退。翌10年から1軍内野守備走塁コーチに就任も4月2日の広島―巨人戦(マツダ)の試合前のノック中に本塁付近で突然倒れ、意識不明のまま救急車で広島市内の病院に緊急搬送。「くも膜下出血」と診断され、5日後の同7日、37歳の若さで死去した。90年にドラフト外で日本ハムに入団し、95年に広島にトレード移籍。06年途中に巨人に移籍するまで慣れ親しんだ地での突然の訃報に、球界全体が悲しみに包まれた。

 ▼巨人・大久保打撃チーフコーチ(坂本について)ホームランよりも、その後の打席で引っ張ったファウルを打てた。引っ張れるということは、ヘッドが立ってきたということ。

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2023年4月9日のニュース