「このおっさん、何言ってんだ」 高橋慶彦氏も理解できなかった世界の盗塁王の技術

[ 2023年2月16日 13:43 ]

大阪球場での1979年球宴で福本豊氏(右)と談笑する高橋慶彦氏
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 通算1065盗塁を達成するなど数々の記録を持つ元阪急の福本豊氏(75)が、15日に更新された高橋慶彦氏(65)の公式YouTube「よしひこチャンネル」に出演し、現役時代の思い出を語り合った。

 冒頭で福本氏の印象を聞かれた高橋氏は「神様です」とキッパリ。そして、話題はいつしか「世界の盗塁王」と呼ばれた福本氏の盗塁技術になった。高橋氏は「リードの仕方」も絶妙に早かったと振り返り「真似ができない」と称した。「塁に出る回数が増えたら真似できるやん」と福本氏はひょうひょうと話すが、「結構、出ているんですよ。僕も、塁には」と高橋氏は苦笑いするばかりだった。

 福本氏の場合、けん制球は来て当たり前。そのため帰塁も足からさっと戻るレベルの高さだった。足から一塁へ戻れる選手は他に類を見ない。そして「オールスターで福本さんに学んで来い」と言われた高橋氏が、その際の思い出話を回想した。

 当時「いいか、ピッチャーの目を見とけ」と極意を伝授された。「白目が見えたりする」と、目線の角度で投手の癖やけん制球の確率なども判断していたといい、高橋氏は「“はい”とは言ったけど、このおっさん、何言ってんだ」とあまりのレベルの違いに当初は意味が分からなかったという。「(投手の顔の)角度とかね。投げる時は(目線が)捕手の方に向くから」と一瞬の隙をついてスタートを切るために、投手の目の動きまで参考にしていたことに高橋氏は驚がく。「俺、目、良かったんかな?」と福本氏がつぶやくと、「見えませんよ!僕も目は良いけど」と高橋が笑いながら返した。

 1972年にはシーズン106盗塁を決めるなど福本氏には他球団も手を焼いた。そん福本対策のため、南海時代の野村克也さんが投手にクイックモーションで投げることを指示したのは有名な話。もちろん、投手のけん制球の多さも群を抜いており、「野村さんとやったとき、11回ぐらいしていたかな」と執拗なけん制を受けた。

 ある時、打席に入ると野村さんから「(盗塁のスタートは)お前、ヤマ勘ちゃうな」と探られた福本氏は「ノムさん、分かってますよ」と返答。「(けん制を)何個しても(盗塁を)せえへんと、投手はしんどくなる」と上をいく技術で投手を根負けさせたといい、あまりのレベルの高さに高橋氏も笑うしかなかった。

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