今季メジャーで注目はやっぱり大谷 思い出すのはレジェンド、レジー・ジャクソン氏の言葉

[ 2023年1月13日 15:05 ]

エンゼルス・大谷
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 大リーグのキャンプインが約1カ月後に迫り、球春への期待感が少しずつ高まり始めている。今季はメッツに入団した千賀滉大投手(29)、レッドソックスと契約した吉田正尚外野手(29)といった新加入選手の活躍も楽しみだが、シーズンを通じて最大の注目を集めるのはやはりエンゼルスの大谷翔平選手(28)だろう。大谷にとってのメジャー6年目を展望した時に、思い出すのは昨年のワールドシリーズ中、ヤンキースなどで通算563本塁打を記録したレジェンド、レジー・ジャクソン氏が残していたこんな言葉だ。

 「2年続けての活躍にも全く驚きはしなかったよ。翔平は、もう力を証明してきたからだ。凄いアスリートを見てきたが、彼は本当にとてつもない選手だ。見ていても楽しいし、野球界にとって翔平の存在は大きい。私もファンの一人だよ」

 二刀流で超ハイレベルの数字を2年続けて残し、昨季の働きは実際にもう球界関係者にとってサプライズではなかった。過去2年連続でMVP投票でも2位以内に入り、米国内では23年も同レベルの成績が予期されている印象がある。

 球史でも前例のないことをやり遂げながら、新鮮味はなくなったことを残念に感じる人はいるかもしれないが、それを必ずしもネガティブに捉えるべきではないのではないか。1年限りの偉業ではなく、それを繰り返せる空前絶後の存在として定着したということ。ジャクソンのような元スーパースターも決して目が離せない選手となったのだ。

 「ミスター・オクトーバー」の呼称で知られるジャクソン氏は大胆な発言で有名であり、現役時代はヤンキース元オーナーのジョージ・スタインブレナー、元監督のビリー・マーティン氏といったビッグネームと激しく対立したエピソードで知られる。現在でも尊大な印象を与える人物だが、ワールドシリーズ期間中、アストロズの本拠ミニッツメイド・パークのフィールドで「大谷翔平について話をお聞きしたいのですが」と呼び止めると、あっさりOKだった。

 実は21年も、大谷がそれまでジャクソンが持っていたエンゼルスの左打者の最多本塁打記録(39本)を塗り替えた直後のワールドシリーズ中、同じ状況で話を聞くことができた。これほどの元スーパースターのそんな態度が、大谷の今のステータスを象徴しているようにも思えた。

 「彼は唯一無二の男だ(He is one of one)。翔平みたいな選手は他にはいない。今、メジャーで最も価値のある選手かもしれないし、現役ベストプレーヤーかもしれない。(アーロン・)ジャッジ、(マイク・)トラウト、ブライス・ハーパーとか、他にもいい選手はいるが、誰か1人を選ぶとすれば、もう大谷以外にないよ」

 ジャクソンのそういった言葉通り、23年は大谷がメジャーNo.1選手としての立場を確固たるものにする年になるのかもしれない。

 ベストとして認められるためには1、2年ではなく、優れたパフォーマンスをある程度の期間、継続する必要がある。MVPを3度獲得し、オールスター10度選出のトラウトがしばらくメジャーのベストプレーヤーと目されたきたが、23年、大谷がその座を引き継ぐのに機は熟したように思える。“メジャーでハイレベルの二刀流”というとてつもない偉業を3年も続け、それが“当たり前”とすらみなされるようになったのであれば、もう誰もその真価を否定できないからだ。(杉浦大介通信員)

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2023年1月13日のニュース