藤浪 アスレチックス合意の裏側 長期化招いた「コレア」と「市場のミスマッチ」

[ 2023年1月13日 02:30 ]

藤浪
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 阪神からポスティングシステムでメジャー移籍を目指していた藤浪がアスレチックスと大筋で入団合意に達した。当初、敏腕代理人として知られるスコット・ボラス氏(70)は年内での早期決着を示唆していたが、合意は日本時間15日午前7時に設定された交渉期限の目前。杉浦大介通信員(47)が、その裏側に迫った。

 メジャーのストーブリーグはバーランダー(メッツ)やデグロム(レンジャーズ)のように高年俸のスター選手から契約が決まっていく。年が明けヒル(パイレーツ)、マイリー(ブルワーズ)らベテランの先発投手が短期契約を締結。藤浪がいつ決まっても不思議はないように思えた。

 ただ想定外の事態が起きた。ボラス氏=写真、共同=のメイン顧客の一人であるスター遊撃手のコレア(ツインズからFA)が身体検査の結果を理由に一度は合意が伝えられたジャイアンツ、メッツと契約破談に。6年2億ドル(約264億円)と伝わる“元サヤ”のツ軍との再契約が11日に発表されるまで交渉に忙殺された。

 かねてボラス氏は「先発、救援で興味を持たれている」と語っていたが、時間が経過して各球団の先発陣が固まり始め、救援要員で検討する球団も増えていったとみられる。米スポーツサイト「ジ・アスレチック」は12月30日の記事でレッドソックスの今後の救援の補強候補として藤浪を挙げた。純粋に先発で評価される投手と比べ交渉の序列が後回しになった感は否めない。

 藤浪は先発の意向が強く、ア軍も先発として期待した。安価な複数年契約で“拘束”されるより、シビアでも単年で早く実力を示せばトレード期限前の強豪チームへの移籍やシーズン終了後にFAとなって大型契約を狙える。慢性的に財政難のアスレチックスもリスクを最小限に抑えることができ「ウィンウィン」の契約といえる。

 ボラス氏が少しでも好条件を引き出そうとしたことも長期化を招いた可能性がある。期限4日前の大筋合意は綱渡りの結末だった。

 ≪譲渡金支払う意思ある全球団と交渉可≫13年以降のポスティング移籍は譲渡金を支払う意思のある全球団と交渉可能となった。田中、前田、大谷は上限の2000万ドル。18年11月からは新協定により譲渡金が選手が結んだ契約の総額に応じて決まる変動制。保証額のうち2500万ドル(約33億円)までの部分の20%、2500万ドルから5000万ドル(約66億円)までの部分の17・5%、5000万ドルを超えた部分の15%の合計となる。

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