祝・21年連続勝利!“小さな大投手”ヤクルト石川雅規のプロ初登板初先発初勝利【復刻版】

[ 2022年4月23日 20:40 ]

セ・リーグ   ヤクルト4―0広島 ( 2002年4月4日    神宮 )

02年、プロ初勝利を挙げお立ち台で真中(右)に腕を掲げられる石川雅規
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 満点の笑顔。石川は喜びをウイニングボールにキスをして表現した。「本当に出来すぎ。満点です。古田さんのお陰。古田さんのミットに投げれば抑えられると思っていました」。6回2/3、4安打無失点。プロ初登板で初勝利は実力の証明だ。20個のアウトで内野ゴロは実に12個。速いテンポと多彩な変化球で広島打線を幻惑した。6回にはディアスの打球を右すねに当てたが、根性で再びマウンドに上がった。

 ヤクルト入団を決めたのは古田の存在がすべてだった。99年のシドニー五輪予選。台湾戦で先発した石川は古田とのバッテリーで5回1失点の快投を演じた。「実はこの時決めたんです。自分を最大限に生かしてくれるのは古田さんしかいない」。3年ぶりの再会。その古田からキャンプ初日に直々に呼ばれ「プロで長くやる秘けつ」と題した2つの助言をもらった。「ケガをするな」「人間関係をうまくやる」。石川は「自分のプレーをするためには一番大事なこと」と心にしまった。左ひざ痛の古田も若松監督に出場を直訴。痛み止めの薬を飲み、3試合ぶりの先発復帰で愛弟子を助けた。

 青学大時代から慣れ親しんだ神宮。これで4年春の7連勝にオープン戦も加え9連勝だ。1メートル69と体は小さい。しかし石川は言った。「あんなに小さいのによくやるなと言われる、いっぱい勝てる投手になりたい」。連覇を狙うツバメに頼もしい孝行息子が加わった。

 ▼ヤクルト・五十嵐亮(7回2死一、三塁から石川を救援し2回1/3を2安打無失点で2年ぶりのセーブ) 新人の勝ちがかかっていたので必死でした。

 ▼ヤクルト・古田 そんなに凄い球じゃなかったけど、低めによく投げてくれた。ブルペンでストライクが入らなかったから、どうなるかと思っていた。

 ▼ヤクルト・若松監督 この寒い中、よく投げてくれた。きょうみたいなピッチングをすれば、まだまだストレートがよくなる。

 ▼父・昭芳さん(53) 秋田の自宅でテレビ観戦していたのですが、ハラハラドキドキでした。本当によく頑張った。息子は体は小さくても負けず嫌いですから。

 ▼母・泰子さん(50) 怖くて見られなくて娘と焼き肉店に行っていました。でも最後にちょっとテレビで見ました。こんなに早く勝てるなんて…。プロで1勝すればいいと思っていましたから。

 【戦評】ヤクルトは5回2死一、三塁から真中の右越え2号3ランで先制。6回にも岩村の適時打で1点を加えた。先発・石川は7回途中まで投げ、4安打無失点。プロ初先発で初勝利を挙げた。広島先発・高橋は力投もつながりを欠いた打線が援護できなかった。

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