阪神・岩崎 俺も球児さんのように後輩助けたい 言葉の重み、若き日の「原体験」から強く感じる

[ 2022年1月6日 07:00 ]

阪神・岩崎の独占企画「成し遂げる」

寅年の今季、さらなる高みを目指す(右から)岩崎、佐藤蓮、高橋 (撮影・中村 与志隆)
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 阪神の岩崎優投手(30)が5日、スポニチ本紙に塩対応ではなく思いの丈を明かす企画「成し遂げる」の第2回で今季のブルペンを支える強い自覚、後輩への思いを激白した。年明けは地元・静岡で同郷の高橋、佐藤蓮と元旦から始動。チームの底上げにも意識を向けながら積極的に助言を送っている。(取材・構成=遠藤 礼)

 鋭いまなざしで強い言葉を投げかけた。「2回続けないようにな!」。次の瞬間、岩崎が胸元で構えていたグラブが左下に大きく傾く。佐藤蓮のボールが少しそれると再び語気を強めた。「フォームが違うだろ。同じ投げ方をしないと」。同郷の後輩と年末から汗を流す自主トレは例年と少しだけ空気が違う。「静」のイメージが強い左腕が助言や発破をかける姿が目立つ。

 「遥人も蓮も一緒に1軍の舞台で活躍できたら自分もうれしい。蓮も球は良いので。頑張れよって。自分が教えられることは教えていきたいので」。手術明けの高橋はリハビリ過程のため、2年目を迎えた右腕と連日行うキャッチボールが“会話”の場になる。「キャッチボールが大事なんで。毎日やりますし、意識を高めるだけで本当に変わってくる。蓮にも1月、2月、シーズン中も継続してほしい」。若き日の「原体験」があるから、自信を持って言える。

 「自分もプロに入って能見さん、球児さんのレベルの高いキャッチボールを見て考え方が変わった。再現性が高く、球筋も奇麗、コントロールも良い、捕るのもうまい。捕り方ってすごく大事で能見さんとキャッチボールしていたら自分がうまく投げられている気がする」。背中を追う若手たちに成功体験を少しずつ伝えていく。1月中旬からは沖縄に拠点を移し、3年目の小川が弟子入りする。「一平にもどんどん言っていきたいし、何か良いものをつかんでくれたら」。すべては強いチーム、強いブルペンを作るために他ならない。

 昨年、1軍のリリーフ陣では日本人最年長の立ち位置でセットアッパーを務めた。周りを見渡せば、ほとんどが年下。助言を送った時もあれば、自重した場面も少なくなかった。「(相手打者のことなど)言っていれば良かったなというのは結構あった。まだ自分も若い子の性格とかも分かってなかった部分もあるので。今年はその選手たちも経験を積んだし自分もある程度、性格なども把握できてる。声かけやアドバイスもしやすくなるし、逆にこの選手には言わなくていいとかの判断もしやすくなる」

 言葉を大切にするのは20年シーズンで現役を引退した藤川球児氏の影響がある。「僕の80%は球児さん(の言葉)でできている。技術のことも、相手打者のことも。読みが凄い」。かけられた言葉が実際のマウンドで生きた経験は数え切れない。「球児さんみたいにすることは難しいですけど、後輩たちの助けになることができたら良いな、という思いは少なからずある」

 今年もチームの勝敗を左右する重要な役割を担う。プロ9年目は背負うものも、失うものも増えた。だからこそ先頭に立って前へ進む。

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2022年1月6日のニュース