ヤクルト トレード移籍した田口がもたらしたものは数字以上

[ 2022年1月6日 07:30 ]

昨季、20年ぶりの日本一に貢献したヤクルト・田口
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 昨季、20年ぶりの日本一を達成したヤクルト。新戦力として活躍した一人が、3月に巨人からトレード移籍してきた田口だ。

 開幕ローテション入りし、9月中旬から中継ぎに配置転換。33試合で防御率4・02、5勝9敗4ホールドとフル回転した。2年連続最下位からの下克上に大きく貢献したが、ヤクルトにもたらしたものはそれ以上に大きいと思う。

 まずは、チームの雰囲気づくりを担った。明るいキャラクターでチームにすぐに溶け込み、投手陣の誕生日には「ハッピーバースデー」を熱唱。「ノリはすげぇ」のワードもはやらせた。間違いなくチームは一体感を増した。

 盛り上げるだけでなく、言うべきことは言う。契約更改では球団に食事面の改善を要望した。「食事のレベルがあまり高くない。ジャイアンツと比べて明らかに違いを感じた」と正直に告白。巨人は遠征先にも同行する栄養士から栄養バランスなどについて助言をもらえるが、「(ヤクルトは)寮にはいらっしゃるみたいですが、1軍の現場にいない」と訴えた。チームを思うからこその意見を受け、球団は環境改善に向けて前向きに検討している。

 若手の底上げにも一役買う。今季9年目を迎える左腕は、1月の自主トレを宮古島で大西、吉田喜らと行う。「能力が高い選手ばかり。そこを最大限引き出せるようにしたいし、僕自身も引き出されるようにしたい」と切磋琢磨に期待。「本当にうちのチームは大人しい子ばかり」とガツガツさに欠けるといい、「大喜(吉田喜)にムチを入れて、2月からよだれを垂らしているくらいに仕立て上げたい」と弱肉強食のプロの世界で生き抜くための貪欲さを引き出す。

 田口イズムの浸透は、2年連続日本一につながるはずだ。(記者コラム・青森 正宣)

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