小学生が描いた社会人野球の夢はエイジェックで現実に “12連勝中の男”潮田雄紀マネジャー

[ 2021年11月18日 11:51 ]

練習を手伝う潮田マネジャー(撮影・柳内 遼平)
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 潮田雄紀には26歳になった今でも、忘れられない光景がある。小学校に入学したばかりの頃だった。三菱自動車川崎で活躍した父・智信さんら家族と訪れた東京ドームで都市対抗を観戦。企業と企業が名前とプライドを懸けて激突する社会人野球の熱気に胸を躍らせた。「いつか僕はここでプレーする」。少年に根拠はなかったが、確信があった。

 19年の時を経て夢は少し違った形でかなった。潮田は栃木県小山市を拠点にする社会人野球チーム・エイジェックでマネジャーとしてチームを支えている。18年に創部した新興チームは今年、初の都市対抗本選出場を果たした。

 「ずっと社会人野球をやりたいという思いがありました」。潮田は高校時代、神奈川・サレジオ学院で4番を務めた強打の捕手だ。一浪して入学した東都大学リーグの青山学院大では遠投115メートル、50メートル走6秒2の身体能力を武器に4年春、秋に捕手でベンチ入り。19年にエイジェックに進むと、堅実な守備と勝負強い打撃を売りに控え捕手としてチームを支えた。

 転機は昨年8月末。青野達也前監督からマネジャー転身の打診があった。都市対抗予選敗退後にユニホームを脱ぐ決断をした。「選手の頃が“どれだけ恵まれていたんだ”と感じることばかりです」。現在は会計や事務作業などのチーム運営や広報業務に追われる日々を送るが、新たな喜びも生まれた。

 記録員として今年の都市対抗予選にベンチ入り。チームが勝ち進む度に感情があふれ、試合後は周囲を心配させるほど号泣した。「マネジャーになって大変になったけど、チームの大事な部分を担うようになった。それが報われたではないですけど、選手が勝利で応えてくれた。それがうれしくて」

 憧れの都市対抗も記録員としてベンチ入りする。マネジャーは試合前に先攻、後攻を決めるジャンケンを担当。潮田は12連勝中である。「都市対抗でもジャンケンに勝って後攻を取ります。少しでも力になりたい」。あの日の光景を最前線から見守る。(柳内 遼平)

 ◇潮田 雄紀(うしおだ・ゆうき)1995年(平7)8月19日生まれ、神奈川県川崎市出身の26歳。幼稚園年長から野球を始め、サレジオ学院中では軟式野球部に所属。サレジオ学院では1年秋からベンチ入り。青学大では4年春からベンチ入り。右投げ右打ち。1メートル74、70キロ。右投げ右打ち。

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