智弁和歌山・中谷監督 感無量!プロ選手として6人目の甲子園大会優勝 高嶋イズム継承…緩慢プレーに怒

[ 2021年8月30日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権大会決勝   智弁和歌山9ー2智弁学園 ( 2021年8月29日    甲子園 )

<智弁学園・智弁和歌山>兄弟校対決を制して優勝を飾り、歓喜の智弁和歌山ナイン。中央奥は中谷監督(撮影・北條 貴史)
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 元プロ野球選手の監督として6人目の甲子園大会優勝を成し遂げた智弁和歌山の中谷仁監督は、その光景を目に焼き付けていた。歓喜の輪の自粛に「あそこ(マウンド)で集まるのは憧れ、夢。世の中がこういう状況で、我慢した彼らを本当に尊敬できるなと思います」とナインを称賛した。

 97年夏には智弁和歌山の主将、捕手として全国制覇。プロでの現役を終え17年に母校のコーチとなり18年8月に高嶋仁監督からバトンを受けた。「全てが勉強。子どもたちと一緒に何がいいのか模索しながら追究している。自分の指導方針なんかはまだない」と選手とともに突っ走ってきた。

 寮では選手に夜食を振る舞い、コミュニケーションを図った。エースの中西聖輝は「チャーハンとか監督特製の野菜炒めはおいしかったです」と証言する。兄貴分として、選手との距離を縮めた。

 ただ、智弁対決となった決勝戦は、勝利に執念を見せる高嶋野球を継承し「鬼」になった。「覚悟を決めていた」という初回。先頭の主将・宮坂厚希が中越え二塁打で出塁すると、2番・大仲勝海には強攻策を指示し好機を広げた。4点目となる2点適時打を放った高嶋奨哉が送球間に二塁に進まなかったことに対して、怒鳴った。

 昨年12月に指導してもらったイチロー氏への思いには「サポートしてくれた方、全員に“ちゃんとやりました”と報告したいですね」。24年前と同じ、先攻で日本一を決めたことには「後攻を取りたいと思っていたけど、キャプテンがジャンケン、負けました」と茶目っ気たっぷりのコメントで笑わせた。(川島 毅洋)

 ◇中谷 仁(なかたに・じん)1979年(昭54)5月5日生まれ、和歌山県出身の42歳。智弁和歌山の捕手として3度甲子園に出場し96年春に準優勝、97年夏は優勝。同年ドラフト1位で阪神に入団。06~11年は楽天、12年は巨人に在籍し同年限りで現役引退。通算111試合で打率・162、4本塁打、17打点。17年に智弁和歌山のコーチに就任し、18年から監督。

 《智弁和歌山の選手&指揮官でV》智弁和歌山の中谷監督は智弁和歌山の捕手だった97年夏に続き、監督でも優勝。春夏の甲子園大会で選手&監督として優勝するのは08年沖縄尚学を率いた比嘉公也(99年春沖縄尚学投手)以来、15人目。ともに夏の優勝は88年の広島商・川本幸生(73年夏広島商内野手)以来。

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