【惜別球人】西武・水口 子供たちに伝えたい“小兵魂”

[ 2020年12月30日 05:30 ]

メヒア(左)に見下ろされながらハイタッチをする水口
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 20代の若手も、40代の大ベテランも、現役を終えた後、さらに長い人生が待っている。今年は上下2回で掲載する年末恒例「惜別球人」の第2回は、パ・リーグ編。グラウンドで発揮したそれぞれの個性を生かすべく、新たな道へ踏み出す。

 1メートル63は、ここ2年間で球界の最小兵。気を張り続けた8年間だった。水口は「最近は毎年(戦力外通告が)来るかなと思っていた。だからショックはなかった。最初はトライアウトを受けるつもりでいた」と振り返る。

 しかし後日、球団からライオンズアカデミーのコーチ就任を打診され、気持ちを切り替えた。「子供たちに“この体でもプロになれるぞ”と教えたくなった。体が小さくても諦めるな、と」。指導に携わることで、コーチとして現場復帰する可能性も出てくる。新たな道筋を定め、引退を決意した。

 アマ時代の身長の公称は1メートル71。「(身長が)70はないとスカウトも目を向けてくれないと思った。すぐバレたけど」と苦笑いする。入団時が1メートル65、15年から1メートル63と、徐々に実際の数字となり「うそをつく必要がなくなった」と続けた。

 最も印象に残る思い出は19年10月に本拠地の公式戦に故郷・長崎に住む両親を招待したこと。「やっと自分のユニホーム姿をメットライフ(ドーム)で見せることができた」。最高の親孝行だった。

 後悔も少しはある。「打力にこだわらず、足に特化すればもっと現役生活が続いたのかも。まあ、よく頑張ったとも思う」。後輩に慕われていた31歳。「いつか現場に戻り、彼らと一緒に優勝を目指して戦いたい」。小さい体には、大きな夢が詰まっている。(大木 穂高)

 ◆水口 大地(みずぐち・だいち)1989年(平元)6月28日生まれ、長崎県出身の31歳。大村工、独立リーグの長崎、香川を経て12年育成ドラフト1位で西武に入団。15年7月に支配下選手登録された。1メートル63、70キロ。右投げ左打ち。

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2020年12月30日のニュース