引退・松田遼馬へ…「寂しさ」を上回る「ありがとう」を込めて

[ 2020年12月30日 05:30 ]

ソフトバンク・松田遼
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 【記者フリートーク】スマートフォン越しの声に迷いはなかった。「今年で野球やめます」。阪神から移籍後は「担当」でなくなっても戦力外通告に胸は痛んだし、トライアウト後の状況も気になっていた。だから12月中旬、「松田遼馬」からの着信に“覚悟”はした。

 26歳での引退は早すぎる。それが初めに抱いた感情でも、ソフトバンクで過ごした日々を聞けば遼馬は一切の余力を残すことなくキャリアを走りきったんだと感じた。「今年は全くケガがなかったんですよ」。鳴尾浜球場でしきりに右肘を気にしていた姿は、ずいぶん昔の話だ。福岡のあの最強軍団でもまれ、力を出し尽くした。

 高卒2年目だった13年。甲子園で150キロ超の直球を連発し鮮烈デビューした光景は忘れられない。その年のオフ、右足の外反母趾(ぼし)の矯正でビーチサンダルを使用することを知ると、故郷の長崎で写真を撮らせてもらったこともあった。

 自然豊かな土地で育ちながら、大の虫嫌い。一緒にボート釣りに行った時には初めて釣ったシーバスに歓喜してるかと思いきや「僕、魚触れないんで…。どうしたらいいですか」と聞き、ずっこけた。「たくさん記事書いてもらってありがとうございました」。

 正直、プロ野球選手・松田遼馬の最後を記す寂しさはある。ただ、それを上回る「お疲れさま」と「ありがとう」を文字に込めたい。(阪神担当・遠藤 礼)

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2020年12月30日のニュース