中京大中京・高橋宏 底知れぬ力!139球目に153キロ!延長ピンチでは全球直球勝負

[ 2020年8月13日 05:30 ]

2020年甲子園高校野球交流試合   中京大中京4-3智弁学園 ( 2020年8月12日    甲子園 )

<中京大中京・智弁学園>延長10回、智弁学園・植垣を空振り三振に仕留め雄叫びを上げる中京大中京・高橋(撮影・河野 光希)
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 2試合が開催され、昨秋の神宮大会王者・中京大中京(愛知)が延長10回タイブレークの末、智弁学園(奈良)にサヨナラ勝ちした。最速154キロ右腕の高橋宏斗投手(3年)は初めての聖地で実力を存分に披露。9回にこの日最速153キロを計測するなど、10回3失点で完投勝利を収めた。チームは昨秋から公式戦負けなしの28連勝。「最強」を示し、有終の美を飾った。

 覚悟とプライドを示した。3―3の延長10回2死一、二塁。勝敗の分岐点でも高橋の心は澄み切っていた。

 「変化球で打たれたら、この試合、悔いしか残らない。自分の真っすぐで打たれたら、何も悔いは残らない」

 植垣に対し、全球直球勝負。カウント2―1から3球連続で150キロ超を投じ、最後は150キロ外角直球で空振り三振。直後のサヨナラ劇を呼び込む、こん身の6球だった。

 初回から150キロ超を連発し、3回まで無失点。4回、連続死球を発端に同点とされたが、セットポジション時のグラブの位置を上げ、試合の中で投球を修正した。猛暑の中「6回くらいからキツかったけど、そこはエースとして自分が投げ切らないと絶対に勝てない」と腹をくくった。8回投球前に高橋源一郎監督(40)から状態を問われたが「行きます」と即答。9回2死一塁。自己最速に1キロに迫る、この日最速153キロで三田を見逃し三振にしとめ、両腕を広げて雄たけびを上げた。投じたストレート95球のうち実に35球が150キロ超。最速を計測したのは139球目だった。

 独自代替大会準々決勝から、初回投球前にプレート後方に「心」と書き込む。

 「全員の気持ちを背負ってマウンドに立つ。3年生29人で戦ってきて、心を一つに…が自分の中でのテーマ」

 コロナ禍により、大きな目標を失った。オフの気分転換だった仲間とのカラオケやタピオカ店巡りもできなくなった。それでも支え合ってここまで来た。主将の印出は緩む心を戒めてくれ、遊撃手の中山は持ち前の明るさで絶妙な声かけをくれた。仲間に感謝し、仲間とともに戦い、公式戦を無敗の28連勝で駆け抜けた。

 わずかな心残りは、個人目標の「甲子園で155キロ」が達成できなかったこと。「まだまだこの投球では、世代No・1というほどの投球ではない」と次のステージへの課題ができた。1試合限りの夏。鮮烈な印象を聖地に刻みつけ、剛腕が高校野球を終えた。 (桜井 克也)

 《153キロ以上は10人目》甲子園の球場表示で153キロ以上を計測したのは中京大中京・高橋で10人目。過去9人のうち、同年のドラフト会議で1位指名されたのは07年夏の仙台育英・佐藤をはじめ7人おり、超高校級の指標であることは明らかだ。 

 《U18日本代表・馬淵監督「すごく魅力ある」》U18日本代表を率いる明徳義塾(高知)・馬淵史郎監督が今大会前半戦の視察を終えた。昨秋の明治神宮大会に敗れた後「直球は松坂より上」と称した中京大中京・高橋について「終盤で153キロというのはかなりのレベル。すごく魅力がある」と再評価。U18のメンバー編成については「まっさら」と苦笑いしたうえで「最終的な選考じゃなく、どういうタイプの選手がいて、どんな魅力があるかを全体的に見ていきたい」と話した。交流試合最終日の17日まで視察する予定。

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